11月13日妥当レンジ 20,900円~22,600円
感染拡大は必ずしもネガティブ要因になっていない
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<上方修正相次ぐ>
■過去4週間の企業の修正発表は次の通り(IFIS集計)。10/19-23週(上方35:下方8)、10/26-30週(上203:下60)、11/2-6週(上158:下32)、11/9-13週(上215:下59)。特に先週(11/9-13)のインパクトが大きかった。これまで変化率が決して大きくは無かったアナリスト・コンセンサス予想も先週に大きく上方に動いた。コンセンサスがやや遅効性があることを鑑みれば、来週以降も上方にシフトすることが考えられる。
■TIWは、従前のコンセンサス予想から日経平均のインプライド・リスク・プレミアム(IRP)を6.0%と置いても23,000円台半ばが妥当な水準と考えていたのであるが、結果的には株価に大きく遅れを取った。13日時点のIRP 6.0%の参考理論株価は24,500円である。
<新規感染者拡大は市場にマイナスではない>
■今回の株価上昇の切っ掛けは、4日の大統領選挙を通過したことによる不透明感の低下と、9日のファイザーのコロナワクチンの治験効果の発表に端を発する。さらに、昨日(16日)には米モデルナも最終治験において有効なデータを公表した。ワクチンが広く世界に行き渡るには少なくとも21年の半ばと考えられる。一方で、足もとの欧米での新規感染者の急拡大による経済へのマイナス影響が顕在化しつつあることには市場は反応薄である。こちらは財政面による支援と中央銀行の緩和策の強化が予想されることでむしろ株価にプラスに作用している可能性も考えられる。
■ここからの物色動向についてであるが、景気回復期待によるバリュー銘柄か、緩和継続によるグロース銘柄か、という混乱が暫くは続きそうである。全体が押し上げられる中で、バリュー→グロース→バリューという循環が続くのかもしれない。トレンドがつかめない中ではあまりジタバタせずに、流れが来るまで我慢するのも一つの選択かもしれない。
■2Q決算が一巡して、決算プレイによる乱高下も収まってくる中では、売り込まれた好業績銘柄に押し目のチャンスがあるように思われる。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
20,900円~22,600円 | (前回20,100円~21,800円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月13日)
今期予想EPS | 1041.43円 | (前週1029.05円) |
来期予想EPS | 1315.74円 | (前週1272.95円) |
再来期予想EPS | 1481.05円 | (前週1450.59円) |
今期予想PER | 24.38倍 | (前週23.64倍) |
来期予想PER | 19.29倍 | (前週19.11倍) |
再来期予想PER | 17.14倍 | (前週16.77倍) |
来期予想PBR | 1.13倍 | (前週1.09倍) |
来期予想ROE | 5.86% | (前週 5.71%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
5.54% | (前週 5.49%) |
11月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
日経平均株価は、来期以降の業績回復を先取りする動き。参考値(RP=リスクプレミアム 6.0%)の日経平均株価(11/13現在)は 24,500円(前週比+900円)にも先行している。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 50.0%→53.3%→51.4%→52.6%→58.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.7%→47.5%→48.5%→51.9%→64.6%。
再来期ベースは5週間ぶりに60%超。業績回復期待はまだ続きそう。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |