9月27日妥当レンジ 20,300円~22,000円
10月はリスク要因が多く、下押しの可能性もあるが

2019/10/01

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<トランプ氏の弾劾調査開始、第2週に米中貿易協議>
■先週は、民主党のバイデン前副大統領の調査をトランプ大統領がウクライナ政府に要請したことを受け、米議会下院は弾劾調査を開始した(9/25)。9月27日にはポンペオ国務長官に召喚状が出された。他方、27日には米政権が米国から中国への投資制限を検討していることを米メディアが報じた。米国市場に上場する中国企業の上場廃止も視野に置くとの内容であった。これら二つを切っ掛けにNY株式は下落し、世界的に株式の下押しが生じたが、後者(中国企業への投資制限)に関しては30日に米財務省報道官が全面否定したことによって、NY株式は切り返している。
■10月は、第2週に米中貿易交渉の閣僚級協議が見込まれること、10月末に再び英国のEU離脱期限を迎えること、月末にかけてECB理事会(10/24)、米FOMC(10/29-30)、日銀(10/30-31)と金融政策決定会合が集中することもあり、神経質な展開が予想される。米議会下院によるトランプ氏に対する弾劾調査の進捗も大いに気になるところである。米共和党上院トップのマコネル院内総務が下院で弾劾訴追した場合は弾劾裁判止む無しと30日に見解を述べたことも気になるところだ。
■今週は、米国の9月の各種主要統計が発表される。ISM製造業景況指数(10/1)、ADP雇用統計(10/2)、ISM非製造業景況指数(10/3)、米雇用統計(10/4)。特に前月(8月分)において50割れとなったISM製造業景況指数が注目されよう。
■リスク要因や経済指標の軟化の可能性など悪材料が目立つ。株価は一時的に下押しする可能性もあるが、構造的に金余り状態は変わらず、金利引き下げ・マイナス金利深堀などは株式にプラスに働く構図がまだ維持されると考える。

< 「コンセンサスDI」は、来期・再来期が50台回復>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、来期・再来期において僅かながら前週比プラスとなった。「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業の比率)も来期・再来期ベースにおいては50を超えた(来期ベースでは19週ぶり)。一時的なものか底入れかについては来週以降に見極めたい。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,300円~22,000 (前回20,400円~22,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月27日)

今期予想EPS 1359.96 (前週1371.16円)
来期予想EPS 1412.95 (前週1412.22円)
再来期予想EPS 1518.85 (前週1516.82円)
今期予想PER 16.09 (前週16.10倍)
来期予想PER 15.48 (前週15.63倍)
再来期予想PER 14.40 (前週14.56倍)
来期予想PBR 1.04 (前週1.05倍)
来期予想ROE 6.74% 前週 6.77%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.88% (前週 6.81%)

9月27日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  



トランプ大統領への弾劾調査開始と中国企業への投資制限問題から一時的に株価は下押ししたが、NY市場からの上場廃止について完全否定となり再び浮揚へ。
リスクフリーレートを-0.240%とした場合の妥当レンジは、21,10023,000円。


来期予想ベースのプラス企業比率は、 39.229.436.541.653.3
再来期予想ベースのプラス企業比率は、38.931.639.642.952.4%。
「コンセンサスDI」は来期予想ベースで19週ぶり、再来期ベースで15週ぶりに50%超え。一時的なものか底入れかは次週以降を注視したい。 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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