3月1日妥当レンジ 20,700円~22,500円
流動性相場の賞味期限は3月FOMCまで!?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<経済指標の悪化も目先は緩和期待から株高要因へ>
■米国の経済指標の鈍化傾向が目立ってきた。26日発表の住宅着工件数(12月)は前月比▲11.2%減少。28日発表の18年10-12月GDP(確報値)は7-9月の+3.4%から+2.6%へと鈍化。1日発表の米ISM製造業PMI(2月)は、前月の56.6から54.2へと低下。同日発表のPCE物価指数(12月)も前月より伸び率が0.1ポイント縮小した。
■こうした指標悪化にもかかわらず、株価上昇が続くのは、FRBをはじめとした世界的な金融緩和期待による。パウエルFRB議長は27日の議会証言において「資産縮小を年内に終了する方向で検討しており、近く公表する」と述べている。5日から中国の全人代が開幕した。経済成長率の目標を6~6.5%に引き下げるとともに、減税、インフラ建設など景気対策を強化している。
■米朝首脳会談(2月27-28日)では、市場の予想に反して何も合意がなされなかった。その理由として、トランプ氏の元顧問弁護士であるコーエン被告の米下院公聴会(27日)での証言等により、内政面でトランプ大統領の立場が悪化しており、そのため安易な妥協は支持者の離反に繋がることから、対外的には強行になるとの見方もある。中国とは協議を継続しつつも或る程度の手打ちを行う可能性があるが、自動車関税をはじめとして、対日交渉での強硬姿勢が高まる危惧がある。
■目先の経済指標の悪化は、緩和期待から逆に株価を押し上げる要因となる可能性もある。しかし、3月のFOMC(19-20日)で量的引締めの終了が示されることによって、一旦織り込み済みとなる可能性が考えられる。経済減速が意識されるとともにインドとパキスタンの戦闘や英国のEU離脱問題などリスク要因に再び神経質になる展開も予想される。
■国内景気も減速感が強まっており、1-3月のGDPは大幅マイナスとなるとの見方が広がっている。来期企業業績はより慎重なものになる可能性があり、アナリストコンセンサスも低下トレンドが続くだろう。今週は、 引き続き中国全人代(14日頃まで)が注目されるほか、ECB理事会(7日)、米雇用統計(8日)、中国貿易統計(8日)が予定されている。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
20,700円~22,500円 | (前回20,800円~22,500円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月1日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月1日)
今期予想EPS | 1382.26円 | (前週 1389.61円) |
来期予想EPS | 1476.31円 | (前週 1483.79円) |
再来期予想EPS | 1518.00円 | (前週 1522.79円) |
今期予想PER | 15.63倍 | (前週 15.42倍) |
来期予想PER | 14.63倍 | (前週 14.44倍) |
再来期予想PER | 14.23倍 | (前週 14.07倍) |
来期予想PBR | 1.09倍 | (前週 1.09倍) |
来期予想ROE | 7.43% | (前週 7.52%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.25% | (前週 7.37%) |
3月1日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
3月(19-20日)のFOMCまでは緩和期待による流動性相場が続く?
来期予想ベースのプラス企業比率は、 42.8%→48.3%→40.6%→39.3%→38.2%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、37.9%→48.0%→34.8%→48.1%→41.2%。
下方トレンドは、本決算発表(4~5月)まで続きそう。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |