2月22日妥当レンジ 20,800円~22,500円
ポジティブ・シナリオが実現したが・・・・。

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<不況時の株高」にも似た商状>
■トランプ大統領は24日、中国との貿易交渉で「十分な進展があった」として、3月2日に予定していた中国製品の関税引上げを延期すると表明。貿易交渉も延長し、3月下旬頃とされる両国の首脳会議で最終合意を目指すとした。関税引上げの猶予期間は不明であるが、トランプ大統領は「1ヵ月程度」と22日に言及している。
■27-28日にベトナムのハノイで米朝首脳会談が行われる予定であるが、トランプ大統領は24日に「実験がない限り、我々は満足だ」と述べ、非核化を急がない考えを示した。韓国大統領府は「(両国が)朝鮮戦争の終結宣言で合意する可能性がある」と語った。
■米中、米朝ともに緊張から緩和に向かい出口が見えてきたことから市場ではリスク回避の動きが低減することによって、円安、株高が生じている。ただし、先週からポジティブ・シナリオを織り込んできたことから足もとは利益確定の動きに繋がっている。
■株価上昇にはもう一つ理由がある。中国、欧州、日本、アジアなどの経済指標が悪化してゆく中で、世界的に金融緩和姿勢が強まっていることである。20日に公表されたFOMC(1/29-30)議事録では、ほぼ全ての参加者が「量的引締めの終了時期は2019年中」と見ていることが明らかになった。ECB(欧州中銀)は、銀行が融資に慎重になるのを防ぐため新たな資金源の検討を始めた(21日・日経報道)。格付けの低い企業への融資をまとめたローン担保証券(CLO)の残高が6,100億ドルと拡大している(22日・日経報道)、中国の企業や個人の資金調達を示す「社会融資規模」が1月末には205兆元と拡大。
■世界的に緩和期待が強まることで、経済指標の悪化は必ずしも株安に反応するとは限らない。
■今週は、米朝首脳会談(27-28日)に加えて、米国(1日:ISM製造業景気指数)、中国(28日:国家統計局製造業PMI、1日:財新・マークイット製造業PMI)、ユーロ(1日:消費者物価指数)をはじめとした重要指標の発表が多いため、上下に振れ幅の大きなマーケット展開が予想される。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,800円~22,500 (前回20,500円~22,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月22日)

今期予想EPS 1389.61 (前週 1377.17円)
来期予想EPS 1483.79 (前週 1488.88円)
再来期予想EPS 1522.79 (前週 1523.73円)
今期予想PER 15.42 (前週 15.18倍)
来期予想PER 14.44 (前週 14.04倍)
再来期予想PER 14.07 (前週 13.72倍)
来期予想PBR 1.09 (前週 1.06倍)
来期予想ROE 7.52% 前週 7.54%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.37% (前週 7.43%)

2月22日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 




図1
景気後退局面の中での金融緩和期待の「不況の株高」症状が続く?







図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
40.242.848.340.639.3
再来期予想ベースのプラス企業比率は、36.337.948.034.848.1
トレンドはまだ下向きか?

 [注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]




出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。