NISAの利便性と選択肢の拡大に向けて

2025/09/05

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◆金融庁は「非課税保有限度額の当年中の復活」などを要望

金融庁は8月29日に2026年度の税制改正要望を公表しました。今回の要望では、NISA(少額投資非課税制度)の「(こども支援の一環としての)つみたて投資枠における対象年齢等の見直し」、「(様々なニーズに対応した)対象商品の拡充」、「(商品を入れ替えやすくするための)非課税保有限度額の当年中の復活」など、投資家の利便性と選択肢を大きく広げる内容が盛り込まれました。

特に注目すべきは、「非課税保有限度額の当年中の復活」です。現行制度では売却した分の非課税枠は翌年にならないと復活しません。例えば、市況の変化などにより投資商品等を入れ替える場合、売却前に投資額が非課税限度額に達していると同年内の買付分は非課税の対象とはなりません。しかし非課税枠が当年中に復活することで、市場環境の変化に応じた、保有資産の柔軟な入れ替え(スイッチング)が可能となります。より機動的な運用ができれば、個人投資家の市場参加意欲も更に高まりそうです。資産配分の見直しやすさは、リスク管理の観点からも有効でしょう。

また、「対象年齢等の見直し」により未成年(18歳未満)が投資できるようになることで、家庭内での資産形成の意識を高める契機となりそうです。現在、2023年に廃止されたジュニアNISAの代替となる後継制度はありません。対象年齢が引き下げられることで、未成年の投資教育や長期での資産形成が可能となります。進学時等の資金とすることや、将来的な投資人口の拡大にもつながると考えられます。これは、長期的に見て国内市場の底力を支える重要な要素になりそうです。

「対象商品の拡充」については、株式に比べてリスクが低く、より安定的に運用できる投資信託が対象商品となれば、これまで投資に慎重だった層もより前向きに資産運用を検討しやすくなります。同日公表された資料※では、つみたて投資枠の対象となる指数の多様化についても指摘してます。高齢者向けの「プラチナNISA」構想も検討されるなど、ライフステージに応じた支援が進めば、資産運用がより身近なものとなりそうです。

今回の税制改正要望は、NISA制度の柔軟性と包摂性を高めるものであり、個人投資家の資産形成を促進する環境整備が着実に進んでいることを示しています。制度の進化は、長期的な資金流入を通じて国内市場の厚みを増すことに加えて、企業の成長と市場の持続的発展を支える基盤となりそうです。

※「NISAに関する有識者会議」中間とりまとめ

投資のハードルを下げる制度改革が個人の資産形成と株式市場の成長を同時に後押ししそうです。 

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