「トランプ圧勝」後の米国株式動向を振り返る

2024/12/06

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◆現時点では、トランプ政策による景気浮揚より、規制緩和への期待が先行?

11月5日の米大統領選挙から早や1カ月が過ぎました。下図は、この間のS&P500指数の業種別騰落率です。同指数は連日の過去最高値更新となり、トランプ・ラリーとも言えそうですが、物色動向は偏りがあります。同氏の政策では、大規模減税の継続や法人税引き下げなどによる景気浮揚が期待された一方、関税引き上げなどによるインフレ再燃や財政の悪化が懸念でした。騰落率を見ると、相対的に「景気敏感」とされる一般消費財や金融、IT(情報技術)などの業種が上位となっています。一方、金利上昇の悪影響を受けやすい業種(公益、不動産)やディフェンシブ業種(ヘルスケア、公益、生活必需品)、関税によるコスト増が懸念される業種(素材、生活必需品など)が下位となっており、違和感はなさそうです。

しかし、個別銘柄を見ると、「景気・インフレ」よりも「規制緩和」への期待(懸念?)が影響したようです。一般消費財の上昇は景気期待の現れというより、この間+47%の高騰となったテスラが主因です。同社CEOのイーロン・マスク氏とトランプ氏が蜜月関係な中、自動運転技術の認可の加速が期待されました。また、EV補助金が撤廃されれば、価格競争力があるテスラが一段と有利とみられます。金融は資本規制強化の後退やM&A(合併・買収)規制の緩和期待が買い材料です。一方、ヘルスケアは、ワクチンや肥満治療薬に懐疑的なロバート・ケネディJr.氏の厚生長官起用が警戒され、製薬株の大幅下落が響きました。

◆今後のカギとなりそうな、ハイテク株の行方

過去1カ月、ITセクターのリターンは、S&P500を上回りました。アップルやアマゾン・ドット・コムが最高値を更新した一方で、グーグルの事業分割問題が浮上したアルファベットは軟調でした。また、AI向け以外の需要の弱さやトランプ政権下での米中対立激化への懸念から、半導体関連株の多くが下落※しました。11月8日にNYダウ銘柄となったエヌビディア株も、四半期決算発表後は伸び悩んでいます。

トランプ氏はバイデン政権のAI規制方針を批判する一方、大手ハイテク企業の寡占には否定的な発言を行ってきました。次期政権の巨大IT企業に対する姿勢がどうなるかも、2025年の米国株の行方を左右しそうです。

※SOX(フィラデルフィア半導体株指数)は、▲0.6%の下落

トランプ政策のもとで、米国の景気やインフレ、金融政策の行方に注目が集まります。
高成長、高インフレとなれば、巨大IT銘柄に再び資金が集中する可能性も考えられそうです。 

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