注目される主要新興国通貨の動向 新興国経済は比較的堅調、政治的要因が懸念材料
注目される主要新興国通貨の動向 新興国経済は比較的堅調、政治的要因が懸念材料
【ポイント1】世界経済は拡大基調
一方、金融市場は不安定な動き
■2018年3月以降、米中間の貿易摩擦の高まりへの懸念などから、金融市場は不安定な動きとなっています。一方、世界経済は2017年後半に比べ、景気拡大ペースがやや鈍化していますが、米国の財政刺激策の効果などにより、景気の拡大基調は継続すると見込まれます。米国の利上げもゆっくりと進むと見られるため、新興国への資金流入に適した環境が続くと期待されます。
【ポイント2】新興国経済も堅調
政治的要因などが懸念材料
■新興国の動向を見てみると、経済は比較的堅調ですが、各国が抱える政治的な要因などが通貨などの変動に影響を与えています。
■南アフリカでは、今年2月に大統領がズマ氏からラマポーザ氏に交代しました。政権交代により政治の透明性が増すとの判断から大手格付け機関により格上げされたことなどもあり、通貨ランドは堅調です。新政権による構造改革への期待が高まっている一方、経済成長率の引き上げや財政赤字の改善には相当な困難が伴うと予想され、ランドの上値余地は限定的と見られます。
■メキシコでは、景気が底堅く推移しています。高水準にとどまっていたインフレ率の鈍化が見られ、北米自由貿易協定(NAFTA)に関して米国の強硬な態度がやや軟化する兆しを見せたことなどから、通貨ペソは堅調に推移しています。引き続き、高い金利水準などが魅力ではあるものの、NAFTAを巡る米国との交渉にはまだ不透明感が続くと見込まれ、ペソは一進一退の展開となりそうです。
■ブラジルでは、金融緩和の効果などにより景気が回復しつつあります。しかし、テメル大統領の汚職問題や、緊縮財政への国民の支持が低いこともあり、財政赤字改善に向けた年金改革は停滞しています。10月の大統領選に向けて政局の不透明感があるため、通貨レアルは当面は上値の重い展開となりそうです。
■トルコでは、通貨安が続いていることや堅調な個人消費などで景気が回復しています。しかし、シリアなどとの地政学問題などで米国や欧州連合との関係が悪化していることや、高インフレが嫌気され、通貨リラは一段と下落しています。対外収支の赤字拡大傾向が続いている他、高水準のインフレや国内政治の不透明感、欧米との関係悪化が引き続き懸念材料となり、リラには更なる下落余地もあると考えられます。
(2018年 4月10日)
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