英国の歩み寄りによって『Brexit』は一歩前進

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昨年6月、国民投票により欧州連合(EU)からの離脱(『Brexit』)を選択した英国。今年初にはEU単一市場から完全離脱する政府方針である交渉上の12の優先項目を示し、3月にはEUに離脱の通告を行いました。そして現在、2019年3月までの2年をかけて離脱交渉中です。先月、メイ首相はフィレンツェで演説し、こう着状態にある離脱交渉の打開策として新しい方針を示しました。

【ポイント1】メイ首相が演説で『Brexit』の打開策を提示

EU予算の負担や、英国在住のEU市民の権利を保障することなどを示した

■英国がEUに離脱を通告してから約半年、『Brexit』の交渉はこう着状態にあります。そうした中、メイ首相は9月22日にフィレンツェで演説を行い、打開策を示しました。主なポイントは①2019年3月にEUから離脱した後は、経済の安定を維持するために、約2年間の移行期間を設定することを提案した、②移行期間中のEU予算への負担金を支払う用意があることを示した、③英国在住のEU市民の権利について、離脱後もこれまで同様の生活を保障すると示したことなどです。

■離脱交渉の妨げとなっていたEU予算の負担や、英国在住のEU市民の権利等、従来に比べて英国がEUの要求に歩み寄る形となりました。また、具体的な移行期間を示し、その間にEUのルールや規制に従うことを示したことは、英国の経済界に安心感を与えたと言えます。

 

【ポイント2】交渉会合は一歩前進するも、交渉加速には至らず

負担金の支払いについて、英国・EUの主張には未だ隔たりあり

■9月25~28日、ブリュッセルにおいて、英国とEUの第四回交渉会合が行われました。英国はメイ首相の演説を基に、EU予算負担金の支払いなどを示し、今後の通商関係の協議への移行などを求めました。一方、EU側は移行期間中のEU予算負担金の支払い以外にも、EU機関の移転費用など、これまでに英国が支払いを約束した分についても支払い義務があるとしており、英国とEUの主張には未だ溝があります。

 

 

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【今後の展開】『Brexit』の交渉に向け、保守党大会でのメイ首相の発言に注目

■『Brexit』の交渉において十分な進展があれば、今月及び12月に予定されるEUサミットで新貿易協定の交渉が開始される見込みであり、今後も月1回開催される交渉会合での進捗が重要となります。

■また現在、10月1日から開幕した与党・保守党の党大会が行われています。保守党は6月に実施された総選挙で、議席が過半数割れとなる敗北を喫しました。今党大会では、『Brexit』の交渉に向けて改めて党内の結束を固めたいところです。党大会最終日(4日)にはメイ首相の演説が予定されており、その発言内容が注目されます。

 

 

 

(2017年 10月 04日)

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