アジア経済と株式市場の見通し 好調な景気、企業業績を背景に株価は堅調な展開
アジア経済と株式市場の見通し 好調な景気、企業業績を背景に株価は堅調な展開
【ポイント1】アジア全域の景気は概ね上向きで推移
■8月の日経アセアン製造業PMIは50.4と、7月の49.3から再び50超えとなりました。日経インドネシア製造業PMIが7月の48.6から8月に50.7と50超えしたことが主因です。日経アセアン製造業PMIが対象としている7カ国のうち、インドネシアの経済規模は約37%(2016年)と最大のウエイトを占めています。
■日経は、インドネシアの製造業の企業マインドは改善しているとしています。今回の調査データの回収期間は8月12日~22日であり、予想外の利下げ(8月22日夜に決定)は反映されていないと推察されます。9月の日経インドネシア製造業PMIはさらに上昇すると思われます。
■また、中国のPMIが引き続き51台を維持する強さで、中国が周辺アジア諸国や地域のけん引役となっています。
■一方、8月の日経インド製造業PMIは51.2と、7月の47.9から急回復しました。7月に全国統一の物品サービス税(GST)の導入で、企業が受注や生産を控え、在庫を取り崩す動きを強めたことで景況感が一時的に悪化したものと考えられま
す。GSTの導入は、中期的には物流コストの低下などによりインド経済にポジティブな影響を与えると期待されています。
■8月は台湾、フィリピン、ベトナムの製造業PMIも50台を維持しており、アジア全域での景気は概ね上向きで推移していると判断されます。
【ポイント2】中国、インド、インドネシアは2桁増益が続く
■アジアは企業業績も堅調に推移しています。アジアを代表する中国、インドの1株当たり予想利益は18年、19年と大幅な増益が予想され、アセアンもインドネシアが好調です。
■中国は8月以降、18年と19年の1株当たり予想利益が若干上方修正されています。一方、インドの1株当たり予想利益は、高水準ではあるものの緩やかに下方修正されています。GSTの導入による企業業績に与える影響が不透明であることなどが要因と思われます。しかし、19年の予想利益が大幅に上方修正されているように、GSTの導入は中期的には業績にプラスに作用すると期待されます。
■アセアンの17年、18年の1株当たり予想利益は16年12月を底に緩やかな上方修正が続いています。国別に見るとインドネシアが好調です。インドネシア株式市場は予想外の利下げとインフラ投資期待から8月に史上最高値を更新しましたが、企業業績も3年連続で2桁増益が続く見通しで、株価を下支えしています。
【今後の展開】良好な経済、企業業績、通貨が株式市場を下支え
■アジア株式市場は、堅調な推移が期待できそうです。中国経済の持ち直しや欧州経済の好調さが世界的な景気回復を促す中、アジアの企業業績が順調に成長すると考えられるためです。
■アジア通貨も落ち着いた推移が続くと期待されます。今後、欧米の金融政策の変更に注意を払う必要がありますが、米欧ともに低インフレのもとで緩やかな金利上昇が想定されること、グローバルで流動性が潤沢なことなどから、相対的に経済が健全なアジアに資金が流入しやすい環境が続くと思われます。良好な経済、企業業績、通貨がアジアの株式投資を支えると考えられます。
(2017年 9月 8日)
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