加速する『車載用電池』の開発競争
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世界的に燃費規制の強化が発表されるなど、自動車は技術開発面でガソリン・ディ-ゼル車から電気自動車への大きな転換点を迎えています。国内企業間、あるいは国際的に電気自動車の共同技術開発などで提携が相次ぎ、電気自動車は他業種を巻き込んだ総力戦の様相を呈しています。そうした中、電気自動車の普及の鍵を握るのが『車載用電池』の性能です。今後次世代電池の開発競争が一段と加速していくと見られます。 |
【ポイント1】 電気自動車へのシフトが加速
『車載用電池』はリチウムイオン電池が中心
■地球温暖化への対応等から、各国は燃費規制を一層強化する方向にあります。イギリス、フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する政策を打ち出したほか、中国は補助金などを導入して電気自動車を優遇しています。ただし電気自動車は、走行距離や価格面などに課題があります。『車載用電池』の性能向上と低価格化が進めば、電気自動車の普及は一気に加速する可能性があります。
■現在、『車載用電池』にはニッケル水素電池とリチウムイオン電池が使われていますが、エネルギ-密度(単位重量・体積当たりの電池容量)や電池寿命等に優れるリチウムイオン電池が主流になると見られます。
【ポイント2】リチウムイオン電池は車載向けが過半
走行距離の延長や低価格化が必要
■リチウムイオン電池は、正極、負極、電解液、セパレ-タで構成されます。従来はスマ-トフォン向けなど民生用が中心でしたが、車載向けが急増して現状では60%程度を占めます。また日本企業は電池本体に加えて、部材も非鉄金属、化学企業などが素材技術を生かして、高い競争力を有しています。
■電気自動車の本格普及には、エネルギ-密度の引上げによる現在300km程度の走行距離の延長、低価格化、充電時間の短縮などリチウムイオン電池の性能向上を進めていく必要があります。
【今後の展開】電気自動車の本格普及に向け『車載用電池』の開発競争は加速
■『車載用電池』は走行距離の延長や低価格化のため、正極材の材料に安価な硫黄を使うリチウム硫黄電池や全固体電池の他、多様なタイプの開発が進められています。
■2020年台前半の搭載を目指す全固体電池は、電解質を可燃物である液体から固体に変えることで発火の可能性がなくなる上、エネルギ-密度や急速充電性の向上などのメリットがあります。全固体電池は国内企業が開発をリ-ドしていますが、『車載用電池』で開発競争が加速する中、競争を勝ち抜いていくことが期待されます。
(2017年 9月 7日)
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