『ジャクソンホール』会議、日本市場への影響は?
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米国地区連銀のひとつであるカンザスシティ地区連銀は、毎年8月下旬にワイオミング州『ジャクソンホール』において、経済政策に関する国際シンポジウムを開催しています。世界各国から中央銀行総裁、政策担当者、学者などが参集し、世界経済や金融政策を巡る議論を交わします。今年の会議は「グローバル経済のダイナミズムを促進する」をテーマとし、8月24日~26日に開催されました。 |
【ポイント1】イエレンFRB議長は金融の安定について講演
金融危機後に導入した諸規制が金融安定化に貢献
■イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、25日に「危機発生後の10年間の金融の安定」という主題で講演を行いました。
■そのなかで、イエレン議長は、2008年の金融危機後に導入した一連の規制が金融システムの安定化に貢献していると述べました。規制の一部簡素化を検討していることも明らかにしましたが、金融ショックに対する金融機関の抵抗力を確保するために、軽微な調整にとどめるべきであると述べました。
【ポイント2】ドラギECB総裁は対外開放的な経済体制の重要性を強調
金融政策については、「かなりの程度の緩和がなお正当化される」
■今回3年ぶりに『ジャクソンホール』会議に出席したドラギECB総裁は、25日の講演で、「成熟した世界経済がさらなる活力を有するためには、潜在成長率を引き上げる必要がある」と語り、そのカギとなる重要な要素のひとつが、技術や資本の自由な流れを促進する対外開放的な経済体制だと述べました。
■金融政策については、講演後の質疑応答で、インフレ率の目標達成までの道のりは長く、ECBの金融緩和解除には慎重さが必要と述べ、「かなりの程度の金融緩和がなお正当化される」と指摘しました。
【今後の展開】次の注目点はトランプ米大統領の経済政策
■8月25日の米国市場では、当初イエレン議長がタカ派的な発言をするのではないかとの思惑があったことから、債券利回りは上昇、米ドルは主要通貨に対して買われていました。ところが、実際の講演では、金融政策の見通しや資産価格に関する具体的な言及はなく、債券利回りは低下、米ドルは売られました。これに伴い、円は米ドルに対して上昇しました。
■今後、金融市場の関心は、米国の2018年度(17年10月~18年9月)予算に移ると見られます。同予算で、トランプ大統領がメキシコとの国境線上の壁建設にこだわるようだと、同大統領の選挙公約だった大型公共投資が先送りされる公算もあり、注意が必要です。この場合は、円高に振れる可能性があり、日本株への影響が懸念されます。
(2017年 8月 29日)
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