「シェールオイル」は消費者の味方か?

2017/06/14

<今日のキーワード>「シェールオイル」は消費者の味方か?

「シェールオイル」は、地中のシェール(頁岩=けつがん)層に含まれる石油のことです。シェール層が深さ数千メートルの地中に存在することなどから採掘が困難でしたが、技術革新のおかげで生産が容易になり、2010年以降、生産量が飛躍的に拡大しています。2017年1-3月期の米国における生産量は日量430万バレル、全米のオイル生産量の約48%を占めています。

【ポイント1】回復に転じた米国の「シェールオイル」生産

16年9月が当面の底

 

■原油価格は2014年秋以降大きく下落しましたが、米国エネルギー省の統計によれば、15年前半の日量469万バレルをピークに減少を続けてきた米国の「シェールオイル」生産は、16年9月の同412万バレルを当面の底として回復傾向にあります。直近17年4月現在の生産量は同444万バレルとなっています。

 

【ポイント2】低下する生産コスト

技術革新が貢献

 

■16年秋からの「シェールオイル」増産の鍵は掘削の技術革新などにより、生産コストが大幅に低下したことにあります。

■カンザスシティー連邦準備銀行のヒアリング調査によると、原油生産者が想定する損益分岐点(損益がゼロとなる価格)は、原油価格の代表的な指標であるWTIで見て2014年7~9月期の1バレル当たり79ドルから16年7~9月期の同53ドルへと大幅に低下しています。陸上および海上油田での生産コストが短期間のうちに急低下するとは考えにくいため、損益分岐点の低下は「シェールオイル」によるところが大きいと判断されます。

 

 

 

170614MK

 

 

 

【今後の展開】「シェールオイル」生産は増加の見通し、原油価格の抑制に

 

■足元の原油価格は、1バレル当たり40ドル半ばの水準ですが、掘削装置の稼働数が底入れしたことから見て、現在の価格水準は「シェールオイル」の生産コストを上回ってきたと見られます。トランプ政権によるエネルギー生産の規制緩和も考え合わせると、「シェールオイル」生産は増加を続ける見通しです。

■国際エネルギー機関(IEA)によると、17年の原油需給は需要超過になる見込みです。価格は持ち直すと見られますが、「シェールオイル」の増産が価格の上値を抑えると考えられます。少しでも生活コストを抑制したい我々消費者の“味方”となりそうです。

 

(2017年 6月 14日)

印刷用PDFはこちら

「シェールオイル」は消費者の味方か?

 

関連マーケットレポート

2017年6月09日 OECDの「経済成長見通し」(グローバル)

2017年5月29日 OPECは「協調減産」を継続(グローバル)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ