協調減産が焦点となる「OPEC」(グローバル)

<今日のキーワード>協調減産が焦点となる「OPEC」(グローバル)

「OPEC(石油輸出国機構)」は、国際石油資本から石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年9月に設立されました。加盟国は2016年10月現在で14カ国を数えます。その原油生産量は世界の40%前後を占め、原油の供給や価格形成といった面で依然、重要な役割を担っています。「OPEC」の最高意思決定機関は、全加盟国が参加する総会です。定例総会は毎年2回開催されます。

【ポイント1】「OPEC」が減産で合意

国別の生産量割り当ては11月総会に先送り

■「OPEC」は9月28日にアルジェリアで開催された臨時総会において、大方の予想に反して協調減産で合意しました。合意の内容は、加盟14カ国の生産量を10月実績の日量3,364万バレルから3,250~3,300万バレルに制限するというものです。ただし調整が難航しそうな生産量の割り当てなどの具体策は、11月の「OPEC」総会に先送りされました。

【ポイント2】背景にはサウジアラビアの戦略転換

シェア維持から価格安定へ

■今回の合意成立の背景として指摘されるのは、サウジアラビアの戦略転換です。これまで同国は急速にシェアを拡大してきたシェールオイル生産者を市場から駆逐することを狙って生産を増強し、価格の低下を容認してきました。

■しかし、ここ数年シェールオイルの生産調整が進みにくくなってきました。生産性の飛躍的な向上により、原油生産コストが大幅に低下したためです。

■このため、さすがのサウジアラビアも、長期間にわたる原油収入の落ち込みには耐え切れなくなり、戦略転換を図らざるを得なくなったと見られています。

 

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【今後の展開】協調減産が価格回復の鍵

■「OPEC」の協調減産合意の報を受け、WTI原油価格は10月に1バレル当たり50ドル台まで上昇しましたが、その後再び下落に転じました。イラン、イラクの増産や、エネルギー産業の規制緩和を唱えるトランプ氏の大統領選勝利などによるものです。

■11月の総会で、「OPEC」が生産量の国別割り当てで合意に至らず、大幅減産が履行されなければ、17年も供給過剰は解消されない見込みです。原油価格の下押し圧力となりかねないだけに、「OPEC」総会の行方が注目されるところです。

(2016年11月14日)

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