2016年の「春闘」展望(日本)

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「春闘」とは春季生活闘争の略で、労働組合が賃上げなどの要求を企業側に求める労働運動のことをいいます。「春闘」という名称は、日本では4月を新年度のはじまりにする慣例があるため、労働組合が生活改善を目指し、毎年2月から3月にかけて企業と交渉することに由来しています。なお「春闘」は、このところ日銀が物価動向を見極める上で強い関心を示しており、市場関係者からも注目が集まっています。

【ポイント1】交渉は業種毎に、大企業から中堅・中小企業の順に進む

賃上げには定期昇給とベアの2つがある
■一般に労働組合は、交渉力を高めるために同じ業種の組合と一緒になって企業と交渉を行います。また交渉の順番は業績が好調な業種の大手組合から始まり、大企業から中堅・中小企業へ、そして中央から地方へと進んでいきます。なお賃上げには、年齢などに応じて自動的に増える定期昇給と、賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)の2つがあります。

【ポイント2】政府は賃上げを要請

ただ労使とも昨年ほど強気でない
■安倍政権は大幅に改善した企業収益を踏まえ、経済界に3年連続で賃上げを要請しています。こうしたなか経団連は1月19日に発表した交渉の指針で、年収ベースでの賃上げ検討を企業に求めたものの、ベアには慎重な姿勢を示しました。

■一方、労働組合の中央組織である連合も、2016年春闘のベア目標を「2%程度」とし、要求の勢いを2015年の「2%以上」からやや弱めました。このように賃上げについては労使とも昨年ほどの強気な姿勢はみられていません。

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【今後の展開】賃金が伸び悩めば日銀の政策判断にも影響が及ぶ可能性

■賃上げに慎重な理由として、中国景気に対する懸念や原油安の進行で金融市場が混乱し、円が買い戻されるなど、企業業績の先行きに不透明感が強まっていることなどが挙げられます。また物価の伸び悩みが続いていることも、大幅な賃上げの要求を難しくしている一因とみられます。

■2015年の定期昇給分を除く平均賃上げ率(賃上げ分が明確にわかる組合の集計)は前年比+0.69%で、2016年はこれを下回る伸びになることが予想されます。賃金が伸び悩み、物価の押し上げにつながらない場合には、日銀の政策判断にも影響が及ぶ可能性があります。

(2016年1月27日)

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