難民問題で「メルケル首相の支持率」急低下(欧州)
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11月5日公表のドイツ公共放送連盟(ARD)の世論調査では、「メルケル首相の支持率」が49%と、今年4月の75%から急低下しています。同首相が率いる統一会派のCDU/CSU(キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟)の支持率も同じ調査で37%と、2013年の前回選挙時の41.5%を下回りました。難民受け入れに寛容な対応をしていることが、一部国民の反発を招いているようです。 |
【ポイント1】難民問題への対応に不満、デモの激化などの社会不安も
偽装難民の判別が困難なことも、混乱拡大に拍車
■欧州への難民申請者の数は、このまま規制を強化しないと今年は年間100万人を超えるとされます。経済的な支援が手厚いドイツへの難民申請者は、今年8月までで20万人を超え、難民問題に対する政府の対応に国民の不満が高まっています。こうしたことが政権への支持率低下の背景にあります。地方財政の負担増や治安悪化も懸念されているようです。
■難民問題の難しさは、難民の認定にあります。難民として認定されるためには、民族紛争や迫害などの理由が必要で、経済的困窮のみでは認定されません。メルケル首相は、非認定者の本国送還などの厳しい対応をしておらず、このことが国民の不満につながっていると見られます。
【ポイント2】9月の対応も混乱に拍車
期待が膨らみ、難民殺到
■9月のメルケル首相の対応も混乱に拍車をかけたようです。ハンガリーで足止めをされていた難民の一部をドイツが受け入れた際、全ての難民をドイツが受け入れるとの誤解が難民の間に広がりました。その結果、受け入れ可能人数をはるかに超える難民がドイツに殺到しました。
【今後の展開】首相への求心力低下を回避し、景気回復への注力を期待
■難民審査を迅速化
ARDの世論調査では、難民の受け入れに上限を設けたり、本国や最初に欧州に踏み入れた国へ強制送還するなどの厳しい対応への期待があります。こうしたことに応え、首相は5日、経済的な困窮から入国し、難民として認定される可能性が低い人たちの審査や送還を早める新たな対策を発表しました。
■難民問題での求心力低下の回避を期待
難民問題以外に、自動車大手の排ガス不正問題や景気対策など、政府が対処すべき問題は山積しています。難民問題で首相への求心力がさらに低下し政局が流動化することを避け、景気回復などに一層注力することが期待されます。
(2015年11月9日)
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