意外に高い利回りが魅力の欧州クレジット市場

2020/02/27

意外に高い利回りが魅力の欧州クレジット市場

1.低金利により、クレジット市場への資金流入が続く
2.緩やかな景気拡大と緩和的な金融政策が追い風に
3.クレジット市場の指標は安定推移

1.低金利により、クレジット市場への資金流入が続く

長期化する金利の低位推移

■昨年は内外の金利低下が金融市場の大きな出来事でした。例えば米国を見ると、堅調な経済を背景に2015年末から金融政策の正常化が進められ、10年国債利回りは16年の夏以降、概ね上昇傾向にありました。18年の秋には10年国債利回りは3%台を付けました。その後、米中の貿易摩擦もあって世界的に景気後退リスクが高まり、インフレの低位安定と相まって長期金利は世界的に大きく低下しました。足元では、新型肺炎拡大の影響を受けて、さらに低下しています。

■今後も、世界経済は拡大が続くものの力強さを欠く展開が想定されるため、金利水準は低位で推移すると見られます。

欧州のクレジット市場に注目

■このような環境下、安定した高利回りが期待できる債券に投資家の関心が集まっています。今年1月時点の利回りはハイイールド債もバンクローンも共に3.9%程度と、欧州の国債利回りと比較して高水準になっています。日本の投資家にとっては、外貨建ての投資は為替リスクを伴いますが、通貨ヘッジを行うことによってそのリスクを引き下げることが出来ます。特に欧州の場合は、ユーロ圏の短期金利が日本よりも低いため、通貨ヘッジを行った場合にはヘッジプレミアムがリターンに上乗せされることになり、債券投資の魅力度が一層高まります。

■過去5年程度の欧州の債券市場のパフォーマンスを確認すると、ハイイールド債が最も高く、バンクローンも良好なことが分かります。それでは、今後もこのような良好なパフォーマンスが期待できるのか、マクロ経済や金融政策、国債との利回り格差やデフォルト率について、現在の状況を確認してみます。

2.緩やかな景気拡大と緩和的な金融政策が追い風に

市場の調整は利上げや景気後退時に発生

■代表的な高利回り金融資産のハイイールド債とバンクローンの2000年以降の年間リターンと欧州連合(EU)の経済状況を確認します。EU経済はリーマン危機後の08年と09年、欧州債務危機後の12年にマイナス成長だった一方、ハイイールド債は7回、バンクローンは3回マイナスリターンとなりました。欧州中央銀行(ECB)の利上げは、2000年、05年から08年、11年の3回の期間で行われました。

■以上から、ハイイールド債とバンクローンについては、ECBの利上げや景気後退期にパフォーマンスが悪化すると言えそうです。逆に、ECBが緩和的な金融政策をとっている時や経済が良好な時は、パフォーマンスも良好になります。いずれもがクレジット関連資産に該当するため、景気動向や企業収益、金融政策の影響を受けるためと考えられます。

■なお、ハイイールド債とバンクローンではパフォーマンスが多少異なります。これは、ハイイールド債が固定金利のため金利の上昇時には価格が下落する一方、バンクローンは変動金利のため、金利上昇の影響を受けにくいことが背景です。

金融緩和と経済成長は今後も継続しよう

■今後の欧州経済と金融政策の見通しについて、弊社では欧州経済は当面力強さを欠きながらも年間ではプラス成長が続くと考えています。これは新型肺炎によって主要な輸出先の中国やアジア経済が減速する影響によるもので、製造業が下押しすると見られます。ただし、欧州域内のサービス業が比較的安定して推移するため、経済全体では拡大が続くと見込んでいます。

■金融政策は、ECBを中心に、現在の緩和的な姿勢が維持されると見込んでいます。これは物価上昇率が1%台前半と低位で推移するなか、景気をある程度サポートする必要がある状況が続くためです。ただし、雇用が安定しているため、追加利下げは新型肺炎の問題が長期化したり、英国やイタリアなどで政治リスクが高まる場合に限定されるとみられます。

■以上の環境下、独10年国債に代表される長期金利も低位で落ち着いて推移すると見込みます。

3.クレジット市場の指標は安定推移

HYスプレッドやデフォルト率は低位安定

■欧州のクレジット市場の状況を確認するために、データが取得できるハイイールド債の国債との利回り格差(HYスプレッド)と、ハイイールド債のデフォルト率を確認します。

■HYスプレッドは、リーマン危機後と2011年の欧州債務危機の時に顕著に高まりましたが、その後は、概ね4%前後で推移しています。直近では、今年の1月末時点で3.4%と、低水準で推移しています。

■ハイイールド債のデフォルト率もリーマン危機後に大きく上昇しましたが、その後は低位で推移しています。足元では、18年2月に直近ピークとなる4.1%をつけた後低下し、今年1月末時点では1.5%です。

■以上の通り、欧州クレジット市場は安定的に推移しています。経済や金融政策が想定通り推移すれば、クレジット市場の堅調さも続くと考えることが出来ます。

■新型肺炎の欧州への感染拡大の影響については、景気鈍化が多少であれば企業の債務返済が大きな問題にはならない上、金融緩和が積極化されるため、クレジット市場にとっては大きなマイナス要因にはならないと見込まれます。

ハイイールド債とバンクローンの特徴比較

■最後に、欧州のハイイールド債とバンクローンの特徴を比較します。

■両者は投資格付けが非投資適格であるという点が共通しており、結果として利回りが他の金融資産よりも高めとなっています。

■一方、相違もいくつかあります。例えば、ハイイールド債は固定金利です。金利上昇局面では価格が下落し、逆に金利低下局面では価格が上昇しますので、景気減速が緩やかでかつ金利低下が見込まれる時が望ましい投資の時期だと考えることが出来ます。バンクローンについては、金利は変動金利ですので、金利上昇期でも価格はあまり動かず、受け取る利回りが高まります。このように金利上昇期にはバンクローンの方が適した金融資産となります。

(2020年 2月27日)

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