注目される『アルツハイマー治療薬』の動向
注目される『アルツハイマー治療薬』の動向
アルツハイマー病は認知症の一種で高齢化により世界的に患者数が急増しています。潜在的需要の大きさから製薬各社が新薬開発を競っていますが、治験失敗による開発中止や撤退も相次いでいます。こうしたなか、世界で初めて認知機能の低下を抑制する効果を示した米バイオジェンとエーザイが開発した『アルツハイマー治療薬』の「アデュカヌマブ」に世界の注目が集まっています。 |
【ポイント1】『アルツハイマー治療薬』の新薬開発競争が激化
■アルツハイマー病は1906年に精神科医のアルツハイマー博士により学会で初めて症例が報告されました。認知症の一種で、記憶や思考能力がゆっくりと低下し、最終的には日常生活も困難になる進行性の病気です。世界の2050年の認知症患者は、2018年の約3倍の1億5,200万人に増えると予測されています。
■製薬会社は、『アルツハイマー治療薬』の潜在的な需要は大きく新薬開発を競い様々な仕組みの治療薬を開発してきましたが、治験失敗による開発中止や撤退も相次ぎました。米メルクやイーライリリー、スイス・ロシュなどが開発中の治療薬の治験を中止しました。現在、世界の『アルツハイマー治療薬』はエーザイの「アリセプト」など4種類あリますが、いずれも一時的な改善の効果しかありません。こうしたなか世界で初めて認知機能の低下を抑制する効果を示した、米バイオジェンとエーザイが開発した「アデュカヌマブ」に世界の注目が集まっています。
■米バイオジェンは2019年12月5日、エーザイと共同開発している「アデュカヌマブ」について、投与した患者の認知機能の低下スピードが2割ほど遅くなったとする臨床試験(治験)のデータを米国の国際学会で発表しました。両社は2020年初めに米国で承認申請する方針です。認知や日常生活に関わる機能で症状悪化を遅らせる効果が認められ、アルツハイマー病の進行を抑える世界で初めての薬となり、大きな注目を集めています。承認が実現して商品化されれば、大きな需要が見込めると期待されています。
【今後の展開】高薬価への柔軟な取り組みが求められる
■世界的に高齢化による社会保障費の増大が予想されるなか、「アデュカヌマブ」はアルツハイマー病の進行を抑える世界で初めての薬として注目されています。承認された場合、同薬は抗体医薬と呼ぶバイオ医薬品で、錠剤やカプセル剤と違って量産が難しいため、高薬価が予想されます。世界的に高薬価の新薬が相次いでおり、各国の社会保障費とどうバランスしていくか柔軟な取り組みが求められます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2020年1月17日)
印刷用PDFはこちら↓
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会