日経平均株価の23,000円という水準
市川レポート(No.533)日経平均株価の23,000円という水準
- 日経平均にとって23,000円は比較的強いレジスタンス水準で、5月、6月ともに上抜けは一時的。
- 足元の株反発は海外勢の買い戻しであればいずれ一服、一段高には業績見通しの改善が必要。
- 出遅れ銘柄の決算が、投資家の懸念後退につながる内容なら、日経平均23,000円台定着も。
日経平均にとって23,000円は比較的強いレジスタンス水準で、5月、6月ともに上抜けは一時的
日経平均株価について、最近の動きを振り返ってみると、5月21日に23,050円39銭の高値をつけた後、徐々に値を下げ、5月30日に21,931円65銭の安値をつけました。その後は反発し、6月12日に23,011円57銭の高値をつけましたが、5月21日の高値を超えられず、再び下げ基調に転じると、5月30日の安値を下抜け、7月5日に21,462円95銭の安値をつけました。
日経平均株価は、5月30日の安値を下抜けたことで、一段安のリスクが高まりましたが、過去2年ほど続く、上昇方向のトレンドチャネル内での値動きにとどまったため(図表1)、7月5日以降は反発に転じています。日経平均株価は、足元で再び節目の23,000円に近づいていますが、5月、6月ともに、上抜けは一時的にとどまっており、23,000円は比較的強いレジスタンス水準になっています。
足元の株反発は海外勢の買い戻しであればいずれ一服、一段高には業績見通しの改善が必要
ここで、海外投資家の日本株売買状況について、5月以降の動きを確認してみます。図表2をみると、海外投資家による先物の売買が、日経平均株価の方向性に大きく影響している様子がうかがえます。海外投資家は直近で、6月第3週(6月18日~22日)から7月第1週(7月2日~6日)まで、現物と先物をともに売り越しており、これが7月5日に日経平均株価が21,462円95銭の安値をつけた一因と推測されます。
前述の通り、日経平均株価は7月5日以降、反発に転じています。ただ、この反発が、海外投資家による先物中心の買い戻しに起因するものであれば、いずれは一服します。そのため、日経平均株価が23,000円の水準を突破し、持続的に上昇する展開を期待するのは、まだ早いように思われます。やはり、日経平均株価が上昇基調を維持するには、業績見通しの改善が必要です。
出遅れ銘柄の決算が、投資家の懸念後退につながる内容なら、日経平均23,000円台定着も
日本では、3月決算企業の4-6月期決算発表が来週から本格化し、8月上旬まで続きます。4-6月期は、日経平均株価を構成する企業のうち、特に非鉄金属、電気機器、機械に分類される企業の株価が大きく下落しました。この背景には、米中貿易摩擦問題があります。つまり、これらの株価の下落は、貿易摩擦の影響が業績に及ぶという投資家の懸念の表れと考えられます。
4-6月期決算では、株価の下げが目立つ非鉄金属、電気機器、機械など、とりわけ製造業の業績に注目が集まります。業績見通しを上方修正する企業はまだ少ないと思われますが、収益の進捗状況や受注動向から、前期にみられた業績改善のモメンタム(勢い)が、どの程度、維持されているかが焦点になります。主に、製造業の出遅れ銘柄の決算が、投資家の懸念を後退させる内容となれば、日経平均株価の23,000円台定着も十分見込まれます。
(2018年7月19日)
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