日経平均22,000円台の持続性

 市川レポート(No.495)日経平均22,000円台の持続性

  • 日経平均は、4月18日に22,000円台を回復、これはEPSよりもPERの上昇によるところが大きい。
  • PERが上昇したのは米中貿易摩擦問題やシリア情勢などに関するリスクプレミアムが縮小したため。
  • 日経平均の22,000円台定着のカギはEPS、業績見通し次第で23,000円台の回復も遠くない。

日経平均は、4月18日に22,000円台を回復、これはEPSよりもPERの上昇によるところが大きい

日経平均株価は4月18日、終値ベースで22,000円台を回復しました。しかしながら、4月12日付レポート「EPS・PERマトリックスで考える日経平均の価格水準」でお話しした通り、22,000円台の回復は、それほど難しいことではありません。EPS、PER、日経平均株価、それぞれについて、4月17日と18日の水準を比較すると、今回の22,000円台回復はPERの上昇によるところが大きかったことが分かります(図表1)。

一般に、PERは投資家にとって株価の割高・割安を判断する尺度です。しかしながら、米中貿易摩擦問題や中東問題などのリスクプレミアムが株価に織り込まれている場合は、PERが低くても、一概に割安と判断されないことがあります。割安と判断されるのは、これらの問題への懸念が後退し、リスクプレミアムが縮小した時であり、その際は、PERが切り上がる形で株価の上昇が見込まれます。

PERが上昇したのは米中貿易摩擦問題やシリア情勢などに関するリスクプレミアムが縮小したため

3月から4月にかけて、日本株のリスクプレミアムとして意識された材料は、(1)米中貿易摩擦問題、(2)シリア情勢の緊迫化、(3)安倍内閣の支持率低下、(4)日米首脳会談における通商問題、(5)北朝鮮問題でした。これらの現状を整理すると以下の通りとなります。すなわち、(1)は、すでに現実的な落としどころを見極める段階に移行したと思われます。(2)は、米英仏の軍事行動が想定の最小限にとどまったため、材料としてほぼ消化されています。

(3)は、安倍首相が秋の自民党総裁選挙で3選を逸しても、自民党政権と現行の政策が継続する公算が大きいと思われます。(4)は、日米首脳会談の初日で通商問題が焦点になることはありませんでした。(5)は、ポンペオ米中央情報局(CIA)長官が極秘訪朝し、北朝鮮の金正恩委員長と会談したとの米紙報道で、米朝首脳会談実現への期待が高まりました。つまり、(1)~(5)のリスクプレミアムが縮小したことでPERが上昇し、日経平均株価は22,000円台を回復したと考えます。

日経平均の22,000円台定着のカギはEPS、業績見通し次第で23,000円台の回復も遠くない

なお、日本時間4月19日の朝方、日米両首脳の共同記者会見が行われました(図表2)。通商問題は引き続き協議を続けることで合意しましたが、米国は2国間の貿易協定が好ましいとする一方、日本は環太平洋経済連携協定(TPP)が最善と述べており、協議の難航も予想されます。今後、(1)~(5)について不透明感が強まれば、リスクプレミアムの拡大でPERが低下し、日経平均株価が再び22,000円台を割り込む恐れもあります。

日経平均株価の22,000円台定着のカギを握るのはEPSです。来週から始まる3月決算企業の決算発表で、2018年度の増益見通しが示されれば、EPSはそれを織り込んで上昇し、日経平均株価を押し上げることも期待されます。仮にPERが現状のまま、EPSが2~3%程度の増益を織り込むだけで、日経平均株価は計算上、22,600円~22,800円台に上昇することになります。業績見通し次第では、23,000円台の回復も遠くはないとみています。

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(2018年4月19日)

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