アセットクラスの年間ランキング(2013年~2016年編)

2017/01/04

市川レポート(No.336)アセットクラスの年間ランキング(2013年~2016年編)

  • 2013年はアベノミクス相場で日本株など先進国株が好調も、新興国株はバーナンキ発言で低調。
  • 2014年と2015年は利回りの追求からリートが選好されたが、ハイイールド債券は原油安が重しに。
  • リスク資産は2016年にトランプラリーなどで上昇、2017年は株式が選好されやすい地合いを予想。

2013年はアベノミクス相場で日本株など先進国株が好調も、新興国株はバーナンキ発言で低調

前回のレポートでは、主要アセットクラスの2008年から2012年までの年間パフォーマンスを振り返りました。2008年はリーマンショックを機にリスク資産が急落しましたが、主要中央銀行が非伝統的金融政策を通じて巨額の流動性を市場に供給した結果、リスク資産は2009年に急騰しました。2010年から2012年は欧州債務危機で流動性供給が増大し、低金利環境が生み出されるなか、総じてリートやハイイールドが選好されました。

今回は2013年から2016年を振り返ります(図表1)。2013年はアベノミクス相場に沸き、ドル円は年間で18円56銭ほどドル高・円安が進行しました。また日経平均株価は年間で約56.7%上昇し、主要株価指数をアウトパフォームしました。これらの要因もあり、2013年は先進国株式が極めて好調でした。なお5月に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が早期緩和縮小の可能性に言及して新興国市場が一時混乱したため、新興国株式は低調でした。

2014年と2015年は利回りの追求からリートが選好されたが、ハイイールド債券は原油安が重しに

2014年は米国で量的緩和第3弾(QE3)が段階的に縮小、終了となりましたが、日本では量的・質的金融緩和(QQE)の拡大が決定され、またユーロ圏ではマイナス金利政策が導入されるなど、総じて緩和的な金融環境は続きました。そのため投資マネーは利回りを追求し、リートを選好する動きがみられました。ただエネルギー関連企業の起債が多いハイイールド債券は、年後半からの原油安を嫌気して伸び悩みました。

2015年は6月に中国株が急落し、8月に事実上の人民元切り下げが行われ、そして年後半には再び原油安が進行し、金融市場全般にリスクオフ(回避)の動きが強まりました。中国景気に対する懸念は新興国株の重しになり、また2014年と同様、原油安がエネルギー関連企業の業績悪化につながり、同企業の起債が多いハイイールド債券の債務不履行(デフォルト)確率が上昇するとの思惑から、ハイイールド債券が下落しました。

リスク資産は2016年にトランプラリーなどで上昇、2017年は株式が選好されやすい地合いを予想

2016年は原油が2月に底を打ったことや、FRBが利上げに慎重な姿勢を維持したことなどから、秋口まではハイイールド債券や新興国株が比較的選好されました。しかしながら11月の米大統領選挙後は、次期トランプ政権への政策期待が強まり、先進国株式が急上昇しました。また石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の減産合意によって、原油が一段高となりました。

以上を踏まえ2017年のアセットクラスを展望します。2017年は緩和的な金融環境のなか日米欧の財政出動が予想され、物価と長期金利の緩やかな上昇は、債券よりも株式を選好する地合いにつながりやすいと考えます。また原油相場が安定すればハイイールド債券に、世界景気の循環的な回復が実現すればリートに、それぞれ追い風となります。一方、トランプ政策への期待後退や欧州の政局混乱などのリスクが実現した場合でも、金融システム内に積み上がった過剰流動性が、アセットクラスの下落幅を相当程度緩和することが見込まれます。

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 (2017年1月4日)

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