日銀10月利上げの可能性について考える
日銀10月利上げの可能性について考える
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- 野口委員は今週、政策金利調整の必要性に触れ、9月会合では利上げに前向きな複数意見も。
- 日銀短観の結果はほぼ想定内、明日の内田副総裁、明後日の植田総裁の発言が市場で注目。
- 市場で10月利上げ確率は約68%に達するも、今後の政策判断に関する材料の見極めは必要。
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野口委員は今週、政策金利調整の必要性に触れ、9月会合では利上げに前向きな複数意見も
日銀金融政策決定会合の開催が10月29日、30日に控え、市場では追加利上げを巡る思惑が徐々に強まっています。今週以降、複数の日銀政策委員の発言や、日米の重要な経済指標などが予定され、日銀の政策判断を見通す上での注目材料が目白押しとなっています(図表1)。そこで今回のレポートでは、主な材料のポイントを整理し、10月会合での利上げの可能性について考えます。
まず、市場でハト派とされる日銀の野口旭審議委員の発言をみると、9月29日の札幌商工会議所での講演で、「当面は、物価の基調を可能な限り慎重に見極める必要がある」としたものの、「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつある」と述べました。また、翌30日に公表された金融政策決定会合(9月18日、19日開催分)における主な意見では、今後の利上げに前向きなコメントが複数の政策委員からあったことが確認されました。
日銀短観の結果はほぼ想定内、明日の内田副総裁、明後日の植田総裁の発言が市場で注目
本日は、9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)が朝方発表され、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス14と、前回6月調査から改善し、大企業非製造業のDIはプラス34と、前回から横ばいでした。先行きは、それぞれマイナス2ポイント、マイナス6ポイントの見方が示されましたが、全体としてはおおむね市場予想の範囲内となり、少なくとも日銀の利上げ判断を大きく妨げる結果ではないと思われます。
なお、明日10月2日は内田真一副総裁の挨拶、翌3日は植田和男総裁の挨拶が予定されています。植田総裁は9月19日の記者会見で、各国の通商政策などが金融市場や日本経済に及ぼす影響について、「なお不確実性が高い状況が続いている」と述べており、早期利上げに前向きな様子は特にうかがえませんでした。今回は植田総裁、内田副総裁から、10月利上げに関する何らかの手掛かりが示されるか否かが注目されます。
市場で10月利上げ確率は約68%に達するも、今後の政策判断に関する材料の見極めは必要
10月4日投開票の自民党総裁選挙も重要なイベントですが、現時点で各候補から、明確に日銀の利上げをけん制する発言はみられません。一方、米国ではこの先、9月の雇用統計や消費者物価指数の発表が予定されており、10月28日、29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えています。雇用増加ペースの鈍化、やや高い水準の物価の伸び、10月の利下げは市場の大方の見方であり、この通りの結果なら、大きな混乱はないとみられます。
市場が織り込む10月会合での25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げ確率は、足元で68%程度に達しており(図表2)、10月会合までの主な材料が、利上げの可能性を高める内容となれば、利上げ確率はもう一段上昇する余地が広がると思われます。ただ、前述の主な意見では、利上げに慎重なコメントもみられているため、図表1で示した今後の材料をしっかりと見極める必要があると考えています。
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- (2025年10月1日)
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