日経平均株価と米利上げ織り込み回数との関係
日経平均株価と米利上げ織り込み回数との関係
- 日経平均は年初から米利上げペースの加速などを警戒し上値の重い不安定な動きが続いている。
- 日経平均と米利上げ回数には連動性がみられ利上げ織り込み進展につれ株価は下落する傾向。
- ただ、利上げの織り込みはそろそろ最終段階へ、利上げペース加速を警戒した株安も終了間近に。
日経平均は年初から米利上げペースの加速などを警戒し上値の重い不安定な動きが続いている
日経平均株価は年初、1月5日に29,388円16銭の高値(取引時間中、以下同じ)をつけましたが、その後は米金融政策正常化の前倒し観測などから投資家の間に警戒感が広がり、徐々に水準を切り下げる展開となりました。1月27日には26,044円52銭の安値をつけたものの、いったん下値が確認され、ここからは慎重ながらも、戻りを試す動きに転じていきました。
2月10日に日経平均株価は一時27,880円70銭まで上昇しましたが、同日米国で発表された1月消費者物価指数(CPI)の前年同月比の伸びが約40年ぶりの高水準となり、米利上げペース加速への懸念が強まると、翌日以降は売りに押される展開となりました。日経平均株価は、2月15日に26,724円91銭まで下落した後、足元では再び27,000円台を回復していますが、年明け以降、総じて上値の重い不安定な動きが続いています。
日経平均と米利上げ回数には連動性がみられ利上げ織り込み進展につれ株価は下落する傾向
ここまで、米利上げ観測は、日経平均株価の方向性に大きな影響を与えてきた要因の1つと考えられます。実際、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む利上げ回数と、日経平均株価の推移を重ねてみると、利上げの織り込みが進むにつれて、おおむね株価水準は切り下がっており(図表1)、日経平均株価が利上げペースの加速を強く警戒している様子がうかがえます。
参考までに、2月16日時点におけるFF金利先物市場が織り込む利上げ回数(0.25%の利上げ回数)は、2022年が約6.3回、2023年は約1.8回となっており、来年までに約8.1回の利上げが織り込まれています。また、2022年3月の利上げ幅については、0.25%の確率が約60%と、0.50%の確率(約40%)を上回っていますが、最近は日によって0.50%の確率が上回ることもあります。
ただ、利上げの織り込みはそろそろ最終段階へ、利上げペース加速を警戒した株安も終了間近に
なお、前回の米利上げ局面では、2015年12月に最初の利上げが行われた後、2018年12月までの3年間で合計9回の利上げが実施され(いずれも利上げ幅は0.25%)、最終的にFF金利の誘導目標水準は、2.25%~2.50%に達しました。ただ、結局、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが考える長期均衡水準(図表2、2018年12月時点で2.75%)を超えて利上げが行われることはありませんでした。
前述の通り、FF金利先物市場は、来年までに0.25%の利上げを約8.1回織り込み、FF金利の誘導目標水準は2.00%~2.25%に達することを見込んでいます。現在、FOMCメンバーが考える長期均衡水準は2.50%ですので、利上げの織り込みはそろそろ最終段階と考えられ、利上げペースの加速を警戒して日経平均株価が下落する局面も、終了が近いと思われます。
(2022年2月17日)
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