日経平均株価と米利上げ織り込み回数との関係

2022/02/17

日経平均株価と米利上げ織り込み回数との関係

  • 日経平均は年初から米利上げペースの加速などを警戒し上値の重い不安定な動きが続いている。
  • 日経平均と米利上げ回数には連動性がみられ利上げ織り込み進展につれ株価は下落する傾向。
  • ただ、利上げの織り込みはそろそろ最終段階へ、利上げペース加速を警戒した株安も終了間近に。

日経平均は年初から米利上げペースの加速などを警戒し上値の重い不安定な動きが続いている

日経平均株価は年初、1月5日に29,388円16銭の高値(取引時間中、以下同じ)をつけましたが、その後は米金融政策正常化の前倒し観測などから投資家の間に警戒感が広がり、徐々に水準を切り下げる展開となりました。1月27日には26,044円52銭の安値をつけたものの、いったん下値が確認され、ここからは慎重ながらも、戻りを試す動きに転じていきました。

2月10日に日経平均株価は一時27,880円70銭まで上昇しましたが、同日米国で発表された1月消費者物価指数(CPI)の前年同月比の伸びが約40年ぶりの高水準となり、米利上げペース加速への懸念が強まると、翌日以降は売りに押される展開となりました。日経平均株価は、2月15日に26,724円91銭まで下落した後、足元では再び27,000円台を回復していますが、年明け以降、総じて上値の重い不安定な動きが続いています。

日経平均と米利上げ回数には連動性がみられ利上げ織り込み進展につれ株価は下落する傾向

ここまで、米利上げ観測は、日経平均株価の方向性に大きな影響を与えてきた要因の1つと考えられます。実際、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む利上げ回数と、日経平均株価の推移を重ねてみると、利上げの織り込みが進むにつれて、おおむね株価水準は切り下がっており(図表1)、日経平均株価が利上げペースの加速を強く警戒している様子がうかがえます。

参考までに、2月16日時点におけるFF金利先物市場が織り込む利上げ回数(0.25%の利上げ回数)は、2022年が約6.3回、2023年は約1.8回となっており、来年までに約8.1回の利上げが織り込まれています。また、2022年3月の利上げ幅については、0.25%の確率が約60%と、0.50%の確率(約40%)を上回っていますが、最近は日によって0.50%の確率が上回ることもあります。

ただ、利上げの織り込みはそろそろ最終段階へ、利上げペース加速を警戒した株安も終了間近に

なお、前回の米利上げ局面では、2015年12月に最初の利上げが行われた後、2018年12月までの3年間で合計9回の利上げが実施され(いずれも利上げ幅は0.25%)、最終的にFF金利の誘導目標水準は、2.25%~2.50%に達しました。ただ、結局、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが考える長期均衡水準(図表2、2018年12月時点で2.75%)を超えて利上げが行われることはありませんでした。

前述の通り、FF金利先物市場は、来年までに0.25%の利上げを約8.1回織り込み、FF金利の誘導目標水準は2.00%~2.25%に達することを見込んでいます。現在、FOMCメンバーが考える長期均衡水準は2.50%ですので、利上げの織り込みはそろそろ最終段階と考えられ、利上げペースの加速を警戒して日経平均株価が下落する局面も、終了が近いと思われます。

 

 

(2022年2月17日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ