日経平均株価と値がさ株
日経平均株価と値がさ株
- 2020年通年で値がさ株の変動が日経平均株価の変動にどの程度寄与したかについて確認する。
- 昨年1年間の日経平均の上昇は値がさ株を中心とする9銘柄の上昇でほぼ説明ができる結果に。
- コロナ禍の日経平均株価は一部の値がさ株に左右される極端な状況が続く可能性が高いとみる。
2020年通年で値がさ株の変動が日経平均株価の変動にどの程度寄与したかについて確認する
2020年12月1日付レポート「日経平均株価の上昇を主導する銘柄群は?」では、米大統領選を経た11月に日経平均株価が急騰したのは、一部の値がさ株主導によるものであることを検証しました。構成銘柄の平均値によって算出される日経平均株価は、株価水準の低い銘柄(低位株)よりも、高い銘柄(値がさ株)の値動きに大きく影響を受けるため、昨年11月のような動きは、もともと起こりやすい傾向があります。
今回のレポートでは、2019年12月30日から2020年12月30日までの1年間において、値がさ株の変動が、日経平均株価の変動に、どの程度寄与したかについて確認します。具体的には、日経平均株価を構成する225銘柄の変動幅をもとに、日経平均株価の変動幅への寄与額を計算します。なお、構成銘柄は期間中に一部入れ替えがあったため、簡易的に2020年12月30日時点の構成銘柄を使用します。
昨年1年間の日経平均の上昇は値がさ株を中心とする9銘柄の上昇でほぼ説明ができる結果に
日経平均株価について、昨年1年間における上昇幅は、3,787円55銭でした。次に、日経平均株価の構成銘柄について、この上昇幅への寄与額を計算し、大きい順に並べると、1位がファーストリテイリング(寄与額は989円23銭)、2位がソフトバンクグループ(713円46銭)、以下、エムスリー(556円42銭)、東京エレクトロン(521円26銭)、ダイキン工業(269円01銭)が続く結果となりました(図表1)。
上位9銘柄の寄与額は合計で3,801円98銭となり、この9銘柄で、昨年1年間の日経平均株価の上昇(上昇幅は3,787円55銭)をほぼ説明できることになります。なお、この9銘柄のうち、ネクソンを除く8銘柄は、値がさ株の上位15銘柄に含まれています(図表2)。したがって、昨年1年間の日経平均株価の上昇は、やはり、一部の値がさ株主導によるものということができます。
コロナ禍の日経平均株価は一部の値がさ株に左右される極端な状況が続く可能性が高いとみる
なお、あらためて寄与額上位9銘柄の顔ぶれをみると、新型コロナウイルスの感染拡大が業績の追い風になった先(半導体や空調、医療への需要の高まりなど)が多いように思われます。また、マイナスの寄与額になった銘柄については、感染拡大が業績の強い向かい風となった、百貨店などの小売業、鉄道などの陸運業、自動車などの輸送用機器といった業種が目立ちます。
騰落率に注目すると、日経平均株価を構成する225銘柄のうち、昨年1年間で上昇したのはわずか77銘柄で、148銘柄は下落となりました。このようにみると、日経平均株価の値がさ株に影響を受けやすい傾向は、コロナの影響で、より強まったことが分かります。そのため、コロナ禍における日経平均株価は、ごく一部の値がさ株の動きに左右される、極端な状況が続く可能性が高いとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2021年1月20日)
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