日本株の短期アノマリー~米大統領選挙後から年末・年度末まで
日本株の短期アノマリー~米大統領選挙後から年末・年度末まで
- ダウ平均は、選挙の年の11月に大きく上昇する傾向がみられるが、日経平均についても検証する。
- 過去17回の大統領選挙で、選挙年の10月末から年末まで日経平均の上昇確率は77%だった。
- 年度末までの上昇確率は71%、年末・年度末までの平均的な上昇率はダウ平均を上回る傾向。
ダウ平均は、選挙の年の11月に大きく上昇する傾向がみられるが、日経平均についても検証する
12月2日付レポート「株式市場の短期アノマリー~米大統領選挙後から年末・翌年3月末まで」では、ダウ工業株30種平均について、選挙年の11月から翌年3月までの過去の動きを検証しました。その結果、10月末を基準に、12月末までと翌年3月末までの期間で、いずれも上昇傾向がみられました。ただ、これらは11月の月間上昇率の大きさが影響していることも分かりました。
このような動きは、アノマリーゆえ、経験的に観測することは可能ですが、論理的に説明することは困難です。それでもあえて、ダウ平均が選挙年の11月に大きく上昇しやすい理由を考えるとすれば、やはり選挙という一大イベントを通過したことによる安心感が大きいと推測されます。そこで今回は、同じ期間において、日経平均株価はどのように動いたかを検証します。
過去17回の大統領選挙で、選挙年の10月末から年末まで日経平均の上昇確率は77%だった
日経平均は1950年9月7日に算出が始まったため、1952年から2016年まで17回行われた米大統領選挙を対象とし、選挙年の11月から翌年3月までの推移を確認します。前回のダウ平均と同様、各月の月間騰落率に加え、10月末から12月末の騰落率、10月末から翌年3月末までの騰落率を算出し、それぞれの数値について平均値を求めた上で、アノマリーの有無を確認します。
結果は図表1の通りです。過去17回の米大統領選挙において、日経平均は選挙が行われた11月に月間で3.2%上昇し(上昇の確率は70.6%)、12月は1.9%上昇(同64.7%)、そして10月末から12月末までの期間では5.2%上昇(同76.5%)しました。従って、米大統領選挙が終了した後、日経平均はダウ平均と同じく、年末まで上昇しやすい傾向があると考えられます。
年度末までの上昇確率は71%、年末・年度末までの平均的な上昇率はダウ平均を上回る傾向
図表2は、選挙翌年の3月までの動きを示したものです。日経平均は1月に2.9%上昇し(確率は64.7%)、2月は1.0%下落、3月は0.7%上昇(同64.7%)となり、10月末から翌年3月末までは7.9%上昇(同70.6%)しました。なお、2月は平均で下落となりましたが、これは1953年2月の14.1%下落(3月にスターリン・ソ連首相重体の報道が伝わる前からの調整)の影響によるものであり、2月は52.9%の上昇確率となっています。
日経平均もダウ平均同様、米大統領選挙が行われた年の10月末を基準に、12月末までと翌年3月末までは、ともに上昇傾向が示され、月間上昇率は11月が最大となりました。なお、ダウ平均も1952年から(前回は1896年から)で比較すると、日経平均の月間パフォーマンスおよび年末と年度末までの上昇率は、いずれもダウ平均を上回る結果となりました(図表1、2)。ちなみに今回11月の上昇率は、日経平均15.0%、ダウ平均11.8%でした。
(2020年12月3日)
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