日本株を見通す上での要点整理

2020/02/17

日本株を見通す上での要点整理

  • 企業決算は、今年度の業績の厳しさを印象付ける内容、業績面からは積極的に買いにくい状況。
  • ただ、新型肺炎で各国が利下げを実施、一段と緩和的になった金融環境が株価を支える見通し。
  • 日経平均は目先膠着感が強まると予想、ただ2012年からの緩やかな上昇トレンドは継続とみる。

企業決算は、今年度の業績の厳しさを印象付ける内容、業績面からは積極的に買いにくい状況

日経平均株価は、節目となる24,000円台の回復手前で足踏みが続いています。そこで、今回のレポートでは、日経平均株価を見通す上での主な材料について要点を整理します。はじめに企業決算を確認します。4-12月期決算発表は、先週までにほぼ一巡しました。日本経済新聞社によると、上場企業(新興・子会社上場など除く)による今年度の純利益予想は、2月14日時点の集計で、前年度比9%減でした。

今回の決算では、幅広い業種で通年度の業績予想の下方修正が目立ちました。ある程度、予想されていたとはいえ、改めて今年度の業績の厳しさを印象付ける内容となりました。アナリストによる業績予想の傾向を示す「リビジョン・インデックス」も、足元で下方修正の割合が増えていることを示しており(図表1)、業績面からはまだ積極的に買いにくい状況といえます。

ただ、新型肺炎で各国が利下げを実施、一段と緩和的になった金融環境が株価を支える見通し

次に、新型肺炎の影響を整理します。依然として感染の拡大は続いていますが、市場の比較的落ち着いた反応をみる限り、この展開はすでに織り込み済みと考えられます。むしろ、市場の焦点は、感染拡大と景気への影響を前提とし、各国がどの程度、踏み込んだ対策を打ち出すかに移っていると思われます。感染拡大の震源地である中国は、すでに巨額の流動性を市場に供給し、時限的な減税措置の実施も表明しています。

また、2月に入り、多くの国が金融緩和を行っています。アジアでは、タイが5日、フィリピンが6日に利下げを決定し、中国も20日に政策金利を引き下げるとの見方が浮上しています。また、アジア以外でも、ブラジルが5日、ロシアが7日、メキシコが13日に利下げを決定しました。このように、世界の金融環境は一段と緩和的になっており、日本を含む主要国の株価を支えているとみています。

日経平均は目先膠着感が強まると予想、ただ2012年からの緩やかな上昇トレンドは継続とみる

つまり、日本株については、業績面からは積極的に買いにくいものの、各国が利下げなどの対策を打ち出すことで、金融相場の様相が更に強まり、結果的に株価が支えられる公算が大きいと考えます。この点を踏まえて、日経平均株価を見通した場合、上値が重い一方、下値も限定的という動きが予想され、当面は23,000円台で、やや膠着感の強い相場展開が見込まれます。

日経平均株価が24,000円台を回復するには、業績や景気の持ち直しを連想できる、相応の材料が必要です。具体的には、①感染者数のピークアウト、②感染封じ込めに効果的な対策の発動、③ワクチンの開発などが考えられます。いずれも、時間を要するものの、ある程度の進展が期待されるため、日経平均株価は今局面でも、2012年から続く緩やかな上昇トレンドを維持できると考えています(図表2)。

 

(2020年2月17日)

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ