米大統領選挙と株式市場の関係

市川レポート 米大統領選挙と株式市場の関係

  • 4年の任期中に米株が上昇する確率は、共和党大統領より民主党大統領の方がやや高い傾向。
  • 選挙前年は株高となりやすく、また政党が変わると選挙の年と翌年で株価の騰落は逆転しやすい。
  • 選挙と株価の関係はアノマリーによるところが大きいが中にはある程度理由が考えられるものもある。

4年の任期中に米株が上昇する確率は、共和党大統領より民主党大統領の方がやや高い傾向

今回のレポートでは、米大統領選挙と株式市場にはどのような関係があるのか、過去のデータを用いて検証を行います。具体的には、①米大統領の任期4年間の株価騰落率、②米大統領の任期4年間における各年(1年目は大統領選挙の翌年、2年目は中間選挙、3年目は大統領選挙の前年、4年目は大統領選挙の年)の株価騰落率、それぞれについて計算します。

期間はマッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅱ期までとし、ダウ工業株30種平均で計算したところ、図表1の結果となりました。①の任期4年間の騰落率をみると、全30回のうち、上昇は22回(共和党11回、民主党11回)、下落は8回(共和党5回、民主党3回)でした。ここから、4年の任期中に株価が上昇する確率は、民主党大統領が78.6%と、共和党大統領の68.8%よりもやや高い傾向にあることが分かります。

選挙前年は株高となりやすく、また政党が変わると選挙の年と翌年で株価の騰落は逆転しやすい

次に、②の任期4年間における各年の株価動向を確認します。図表1をみる限り、任期3年目、すなわち大統領選挙の前年は、株価が上昇しやすい傾向がうかがえます。マッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅰ期までの全30回のうち、任期3年目に株価が上昇したのは24回で、その確率は80.0%に達します。なお、トランプ米大統領は今年が任期3年目ですが、昨年末から11月11日まで、今のところ18.7%上昇しています。

また、大統領選挙で政党が変わると、選挙の年と翌年で株価の騰落が逆転する、つまり、元大統領の4年目が上昇(下落)なら新大統領の1年目は下落(上昇)、というケースが多くみられます。マッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅰ期までの全30回で、政党が変わったのは11回ありますが、このうち株価の騰落が逆転したのは9回で、確率は81.8%になります。

選挙と株価の関係はアノマリーによるところが大きいが中にはある程度理由が考えられるものもある

ここまで確認してきた傾向は、論理的に説明のつかない変則性(アノマリー)によるところが大きいと思われますが、任期3年目に株価が上昇しやすいのは、翌年の選挙戦に向けた景気対策などを織り込むためとも考えられます。また、政党が変わると株価の騰落が逆転しやすいのは、下落(上昇)局面にある株価が、政策方針変更への期待(警戒)を織り込むためとも考えられます。

なお、参考までに日経平均株価で検証してみると、①の任期4年間の騰落率は、アイゼンハワーⅠ期からオバマ大統領Ⅱ期まで全16回のうち、上昇は10回(共和党5回、民主党5回)、下落は6回(共和党4回、民主党2回)となり、民主党大統領の4年間で株高となる確率は71.4%と、共和党の55.6%を上回ります。その他、大統領就任2年目は他の年よりも相対的に株価が下がりやすい傾向がみられましたが、政党が変わると株価の騰落が逆転しやすいという傾向は確認できませんでした。

(2019年11月12日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会