ECBの資産買入れは、予定どおり年内で終了
▣ FRBに続き、ECBの金融政策は金利を中心とした正常な姿に
欧州中央銀行(ECB)は12 月13 日の理事会で、国債などを買い入れる量的金融緩和政策(資産購入プログラム)の年内終了を正式に決めました。今回の決定事項は以下のとおりです。
- 政策金利は据え置き(主要政策金利:0%、銀行がECBに余剰資金を預ける際にかかる中銀預金金利:マイナス4%、金融機関がECBから借り入れる際の限界貸出金利:0.25%)
- 非伝統的な金融政策である資産買入れは年内で終了
- 政策金利は、“インフレの持続的な持ち直しが確実になるまで必要な限り、少なくとも2019年夏まで現状の水準を維持する”
- 保有債券の満期償還金の再投資は利上げ開始後も長期にわたって継続する
また、利上げの時期や満期償還金再投資の具体的な期間については議論しなかった模様です。
▣ 利上げ開始はまだ先
あわせて公表した経済見通しでは、ユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率の見通しを2018年は9月時点の2.0%から1.9%に、2019年も1.8%から1.7%にそれぞれ引き下げました(図表1)。 消費者物価上昇率(インフレ率)の見通しは、2018年については1.7%から1.8%に引き上げましたが、2019年の見通しを1.7%から1.6%に引き下げました。
ドラギ総裁は会合後、「ユーロ圏経済の成長見通しをめぐるリスクは、おおむね均衡していると引き続き判断することができる」ものの、「地政学的要因の不透明性や、保護貿易主義の脅威、新興国市場の脆弱性、金融市場の不安定さなどを踏まえると、リスクバランスは下振れ方向に傾きつつある」と言明しました。
ECBの金融政策への次の関心は、利上げ開始時期に移ります。ただ、インフレ率が伸び悩み、欧州経済をめぐる懸念が増す中、市場が織り込む利上げ時期は徐々に後ずれしてきています(図表2)。
量的緩和政策は終了するものの、金融緩和的な環境が当面続くとみられます。とはいえ、来年10 月末にドラギECB総裁は任期切れを迎えます。利上げに前向きなタカ派色の強い総裁人事になった場合には、利上げ時期がやや早まることも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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