ECB、方針どおり10月から資産買入額を半減
▣ 資産買入れは年内終了へ
欧州中央銀行(ECB)は9月13日の理事会で、政策金利を据え置くとともに、6月に決定したとおり、現行の月300億ユーロの資産買入れを10月から月150億ユーロに半減させること、またデータが理事会の中期インフレ見通しを確認するものとなれば年内で買入れを終了することを決定しました。引き続き、政策金利は、“インフレの持続的な持ち直しが確実になるまで必要な限り、少なくとも2019 年夏まで現状の水準を維持する”としました。
あわせて公表したECBスタッフによる経済見通しは、貿易摩擦などの影響で外需が弱まったことから、2018、2019年の成長率見通しを若干引き下げましたが、ドラギ総裁は記者会見で、「成長率がこのところ、潜在成長率を上回っている」、「ユーロ圏経済の成長見通しを取り巻くリスクはおおむね均衡している」との認識を示しました(図表1)。他方、不確実要因は、新興国市場の動向、金融市場のボラティリティ(変動)に加え、「世界経済における不確実性の最大の原因は保護主義」と、貿易摩擦への懸念を示しました。
消費者物価上昇率の見通しについては据え置いたものの、「インフレ見通しをめぐる不確実性は後退している」と、“2.0%未満かつその近辺”としている物価目標に収束していくとの見方も示しました。
▣ 保有債券の再投資はまだ先
今回のドラギ総裁の記者会見では、年内の資産買入れ終了後の、保有債券の償還金等の再投資(保有資産残高の維持)への質問も出ましたが、ドラギ総裁は「まだ討議していないものの、次回(11月)か12月の理事会で討議することになるだろう」と、徐々に出口戦略(金融政策の正常化)を進める姿勢を示しました。
もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)が保有資産の縮小に着手したのは、利上げ開始から2年近く経過した後で、ECBについても当分の間、保有残高は維持されることが見込まれます。
来年夏までの金融政策の道筋は示されており、市場では今後、利上げ開始時期、保有資産の縮小時期、次期総裁(ドラギ総裁は来年10月末で任期満了)などに目が向くことになりそうです。
ちなみに、消費者物価上昇率は2019年中盤にかけてやや鈍化する見通しになっており、利上げを急がない姿勢が示されています(図表2)。10年債利回り、ユーロについても見通しが6月から下方修正されており、金利、ユーロの上値は限定的との見通しです(図表3、4)。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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