米金融当局者のハト派、タカ派の整理

2016/04/15 <>

○メンバー構成

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が開催し金融政策を決定する委員会。投票権を持つFOMCメンバーは、常任がFRBの執行部(理事)7名(現在は2名欠員で5名)とニューヨーク連銀総裁、残り4枠がニューヨーク連銀を除く11地区の連銀総裁の輪番制となります。ただ、他の連銀総裁は委員会には参加できますが、投票権はありません。

○金融政策に対するスタンス

2016年のFOMCメンバーの金融政策に対するスタンスをみると、執行部は概ね、経済状況に対して慎重な見方をし金融緩和に積極的な“ハト派”、もしくは“中道派”に入ります(図表1、2)。地区連銀総裁については、2人が“ハト派”、3人が経済状況に対して強気な見方をし金融引き締めに積極的な“タカ派”とみられています。今年は“タカ派”のメンバーが増えたとはいえ、“ハト派”がFOMCメンバーの半数を占めます。

○今年の利上げ回数

3月に公表されたFOMCの政策金利見通しでは、年内の利上げ回数が、1回が1人、2回が9人、3回が3人、4回が4人となっています(図表3)。投票権を持つFOMCメンバーでは、1回が1人、2回が6人、4回が3人とみられます。ハト派寄りとは言え、年内の利上げはあっても1回程度とみている市場とは、乖離が存在します(図表4)。

○最近の発言の特徴

最近の米金融当局者の発言からは、利上げにあたって、経済データ次第とのスタンスは変わっていませんが、利上げを受けたドル高の米経済への影響に加え、利上げが海外経済を減速させ、それが米経済に悪影響を与える可能性についても警戒している模様です。

○今後のポイント

来週火曜日からブラックアウト期間※に入り、米金融当局者の金融政策に関する発言は控えられます。4月26-27日に開かれるFOMCでは利上げの可能性は低く、声明文で何らかの利上げへの示唆があるかが注目されます。FOMC後は、FOMC声明文、FOMC議事録(3週間後)、1-3月期の米国内総生産(GDP)(4月28日)や米雇用統計(5月6日)などの経済指標、金融当局者の発言、世界経済情勢などを確認しながら、6月の利上げの有無を占うことになります。

また、投票権はありませんが、影響力が強いアトランタ連銀のロックハート総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁の発言などについても確認していく必要があります。

※ブラックアウト:FOMCが開かれる前週の火曜日からFOMC終了までの期間。この期間は金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはいけないルール。

図表1,2は印刷用PDFをご覧ください。

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20160415 P3

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