IMF 世界経済見通しメモ(2024 年 1 月)

2024/01/31

▣ 見通しを上方修正

国際通貨基金(IMF)は1月30日に発表した最新の世界経済見通しで、2024年の世界全体の成長率を3.1%と、前回の昨年10月の予測から0.2ポイント引き上げました(図表1、2)。米中の成長上振れが背景で、2025年は3.2%としました。

IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は経済成長とインフレ抑制が両立するソフトランディング(軟着陸)に向けて最後の下り坂に入ったと強調しました。

2024年の先進国のインフレ率は2.6%と、前回予測から0.4ポイント引き下げました。依然として引締め的な金融政策とそれに関連した労働市場の軟化、またエネルギー価格の下落の影響を受けて、世界的にインフレは鈍化する見通しです。

日本の見通しを若干引き下げ

日本は円安や新型コロナウイルス禍からのリベンジ消費や企業投資の回復などの、2023年に景気を下支えした要因が減退することを反映し、2024年の成長率を前回予測より0.1ポイント低い0.9%となりました。また、日銀の金融政策について、インフレが予想外に加速した場合に備えて利上げの準備をする必要があると指摘しました。

米国の2024年の成長率は個人消費の強さを反映して0.6ポイント高い2.1%としました。中国は政府支出の増加を反映し、4.6%と0.4ポイント上方修正しました。

ユーロ圏については、2023年は0.5%の低成長となり、2024年も0.9%と前回から0.3ポイント引き下げました。消費者心理や企業投資の低迷が続き、2023年にマイナス成長に陥ったドイツは2024年も0.5%の伸びにとどまる見通しです。

▣ 上振れ、下振れリスク

経済成長の上振れリスクとしては、インフレが予想以上に速く鈍化し、中央銀行が金融緩和を進める可能性があるほか、企業、消費者、金融市場のセンチメントを改善することや、中国の経済が不動産開発業者の再編や財政支援などから急回復するなどを挙げています。

他方、下振れリスクについては、ガザ地区とイスラエルの紛争、紅海における攻撃、洪水や干ばつを含むより極端な気象ショックによる食料価格の高騰、インフレ率の鈍化ペースが予想より遅く、金利見通しが上昇すること、また中国経済が不動産部門の問題や地方政府の財政ひっ迫などから想定以上に鈍化することなどを挙げています。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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