日銀のJリート買入れ、積極姿勢は後退
▣ 年初にリートの買入れ額を減額
日銀は昨年3月16日に、ETF(指数連動型上場投資信託)とともに、Jリート(不動産投資信託)についても、これまでの約2倍のペースである年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行うことを決めました(ETFについては年間約12兆円が上限)。
日銀はJリートについて、コロナ前の1月、2月は1回あたり12億円の買入れを行っていましたが、3月にはこの決定を受けて40億円まで増やしました。ただ、4月以降は徐々に減額し、8月には12億円と、コロナ前の水準に戻しました(図表1、2)。
そして、年明けの1月4日、日銀は買入れ額をさらに9億円に減額しました。
▣ 市場の状況に応じて、買入れ額を上下に調整する方針
Jリートは、株式市場に比べると出遅れているものの、昨年3月の急落から値を戻してきています。昨年末に3月以来の水準まで上昇したことを受けて、買入れ額を減額した格好です。日銀はJリートについてもETF同様、買入れ額は上下に変動しうるものとしています。買入れ実施の判断基準は今のところ変わっておらず※、“市場の状況”に対応して、1回あたりの買入れ額を一段と減額した模様です。
※前場の東証REIT指数が0.5%以上下落、2営業日続落かつ前場の東証REIT指数が0.25%以上下落、相場が荒れた局面では前場の東証REIT指数の騰落にかかわらず買入れ実施(いずれも日銀が示した基準ではなく、2019年後半以降の実績から推測)。
▣ 2020年は投信、日銀は買い越し、銀行(日銀を除く)は売り越し
昨年のJリートの投資部門別の売買状況をみると、銀行(日銀を除く)については一昨年に続き売り越しとなりました。リートに投資するETFへの、銀行など金融機関等からの資金流入については、証券会社の自己売買取引として算定されますが、この自己取引についても昨年は小幅な買いにとどまりました(図表3、4)。一方、買い越しが目立ったのは日銀と投資信託でした。
今年は、日銀の買入れ動向に加え、金融機関の買いが戻るかも注目されます。
▣ 売らない日銀の買いは続く、ただ3月の会合で一段と柔軟な買入れ方針を示す可能性も
今年の1月に入り、買入れ額が減額されましたが、相場が荒れた場合には増額、相場が一段と上昇する局面ではさらに減額することも想定されます。
日銀は3月の会合をめどに、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行い、その結果を公表する予定ですが、黒田日銀総裁はETFの売却については、「出口の議論の一つで、全く時期尚早」と否定的で、Jリートについても同様の考えとみられます。緩和姿勢の後退、転換と受け止められることから、ETFやJリートの買入れ停止や売却の可能性は低そうです。
買入れ額の上下動や3月の会合などでの買入れ実施の判断基準の見直し(下落局面でのみ買入れ実施等)の可能性はあるものの、売らない日銀によるJリートの買い(下支え)は当面続くことが見込まれます。
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