コロナ禍とJリート

2020/07/16

▣ オフィス空室率は4か月連続で上昇、賃料は78か月連続で上昇

オフィス仲介の三鬼商事が7月9日に発表した6月時点の東京都心のオフィス空室率は1.97%と、前月比0.33ポイント上昇しました(図表1)。4か月連続で上昇し、2018年11月以来1年7か月ぶりの水準です。新築ビルが一部で募集面積を残して竣工したことに加え、既存ビルで、新型コロナウイルス感染症の影響で移転や成約に向けてのテナントの動きに遅れが出てきたこと、オフィス縮小に伴う解約がみられたことも、空室率を押し上げた模様です。今後もコロナ禍で上昇傾向が続く可能性が高そうです。

▣ 2021、22年はオフィス供給量が減少

もっとも、空室率はまだ需給均衡の目安とされる5%を大きく下回る低い水準にあるほか、賃料の上昇は続いており、オフィス市況はまだ堅調さを維持しています。また、オフィスビルの供給については、2021、22年は減少するため、需給の軟化は限定的とみられることもオフィス市況の下支え材料で、空室率の上昇を抑制しそうです(図表2)。

▣ 空室率4~5%までの上昇にとどまると、賃料は下げ渋る可能性

空室率と賃料は、空室率が4%前後まで上昇すると賃料がピークアウト、また空室率が5%前後まで上昇すると、賃料が前年比で下落に転じる傾向がみられます。足元の空室率は2%弱と、4%までは距離があり、少なくとも賃料の高止まり状態が続く可能性があります(図表1、3)。

▣ 失業率も底打ち、ただ失業率見通しのピークは2000年代の最低を下回る水準

オフィス市況を支える労働市場については、失業率が昨年末に2.2%と1992年以来の水準まで低下して底を打ち、直近5月には2.9%と2017年5月以来の水準に上昇しています(図表4)。ESPフォーキャスト7月調査によると、失業率は2020年10-12月期に3.56%まで上昇し、その後は緩やかに低下していくとの見通しです。

この失業率3.56%の水準は、2000年代で最も低かった2007年7月の3.6%を若干下回ります。ちなみに、2007年7月のオフィス空室率は2.8%でした。今後、この水準で失業率、空室率の上昇が止まるかは、新型コロナウイルスの感染状況やリモートワークの広がりなどにより不透明ですが、空室率が4~5%程度までの上昇にとどまれば、オフィス賃料の大幅な下落は免れることが見込まれます。

▣ 物流系リートなどは堅調

ホテル系リートについては、経済活動再開の広がりや、「Go To キャンペーン」の成否などに影響されそうです。他方、住宅系リートについては、賃貸住宅の賃料は一般的に景気や資産価格の変動の影響を受けにくく、安定的であることから、コロナ禍の影響を受けにくいとみられます。

また、物流系リートについては、ネット通販の市場拡大やテナント企業の在庫を増やす動きにより、需要が増えていることに加え、物流施設の賃貸借契約は長期間の固定賃料での契約が多く、安定した賃料収入が期待できます(図表5)。

新型コロナウイルスの感染再拡大には警戒が必要ですが、日銀が長期金利をゼロ%近辺に誘導するイールドカーブ・コントロールを継続し、また米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年までゼロ金利政策を続ける見通しを示すなど、世界的に超低金利環境が長期化することが見込まれる中、Jリート市場は相対的に高い分配金利回りに着目した買いも期待できることから、不安定ながらも底堅い動きが続くとみられます。

※「ESPフォーキャスト調査」とは

この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。(日本経済研究センターより)

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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