2019年の世界経済見通し:それほど悪い年ではない

2019/01/09

長期的な観点からポイントを整理

今年はどのような年になるのでしょうか。果たして市場環境は好転するのでしょうか。細かいことを言えばきりがありませんが、長期投資の観点に立つ限り、さしあたり以下の諸点を押さえれば十分です。

(主要な国・地域ごとに整理しますが、グローバル化や各国内の格差拡大を受け、「国家」の意味は薄れつつあることに留意すべきです。それでもポイントを整理するには、依然として便利な枠組みです。)

【米国】消費主導の景気拡大が続く見通し

まず米国ですが、特に雇用環境は良好です。昨秋からの原油安に伴うガソリン安なども、個人消費を支える見込みです。インフレが和らぐ中、今年の利上げは0~1回にとどまる可能性が高まっています。

これらを踏まえると、株価指数については年間10%程度の上昇を期待するのが合理的です。ただその程度だと、株価上昇が政策成功の証明、と信じるトランプ大統領にとっては、やや物足りない成績です。

【中国】成長率の低下自体は自然なこと

米国株の大幅上昇に必要なのは、中国との画期的な通商合意です。その結果、相互の関税が引き下げられるだけでなく、中国市場の透明性がより高まることになれば、株式市場は素直に好感するでしょう。

ただし中国が先進国へ移行するにつれ、成長率が低下していくのは全く自然なことです(図表1)。市場やメディアがそうした理解に至れば、中国の景気減速にいちいち大騒ぎすることもなくなるはずです。

【欧州】政治イベントを注視

実際、ユーロ圏は今年も低成長が予想されますが、これに驚く人は少ないでしょう。すでに成熟した国々であるからです。より注視したいのは、5月の欧州議会選挙で偏狭な右派が躍進するかどうかです。

また、英国は欧州連合からの離脱(3月29日の予定)を控えています。ただ、それが撤回される可能性もあります。英国とユーロ圏は、国内・域内の亀裂のため、長期的なビジョンを描けずにいるのです。

【日本】増税よりも円高が株価を圧迫する見込み

秋に消費税増税を予定している日本では、ユーロ圏を下回る成長率が続く見通しです。夏の参議院選挙もあるので、安倍政権は、財政支出や各種媒体を用いて好景気を印象づけようと躍起になるはずです。

景気がどうあれ、株価は米国株に追随した上昇が予想されます。ただし米国の利上げ鈍化で、今年は1ドル=100~105円への円高があり得ます。この場合、日本株の上昇率は米国株を下回る見込みです。

慎重姿勢も根強いが、昨年よりは良い年になる、と予想

米国の利上げ鈍化で一番恩恵を受けるのは、アジアなどの新興国かもしれません。「米国の金利上昇→新興国から資金流出」との単純な連想で、昨年は一時、新興国の株や通貨が理不尽に売られたためです。

以上のことから、今年の金融市場は、昨年終盤よりは明るいムードに傾きそうだと言えます。欧州の混迷や中東の紛争などのリスクはあるものの、世界経済を奈落の底に突き落とすほどではないでしょう。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

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