COP26は一応成功:気候変動に関し、投資家が持つべき視点

2021/11/15

認識を共有化

気候変動問題は、おそらく今世紀最大の問題でしょう。したがって、世界中の個人、企業、政府は、協調して温室効果ガスの削減に取り組まねばなりません。投資家としても、この問題の考慮が欠かせません。

日本を含む世界各地で近年、異常気象が頻発しています。それだけに、11月13日までの2週間ほど英国で開催された、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、時宜にかなったものでした。そしてこの国際会議は、論点を明確化し、多数の国々の認識を共有する上で、一応の成功を収めました。

かすかな希望

具体的成果は、森林破壊の阻止やメタンの排出量削減(いずれも2030年まで)に関する、100か国以上の合意などです。また、6年前のパリ協定による目標が達成可能、との希望が、かすかに出てきました。

産業革命前比の気温上昇を、今世紀末まで2℃未満(1.5℃が望ましい)に抑制、という目標のことです。COP26の期間中までに各国が表明したネットゼロ(温室効果ガスの純排出ゼロ)方針などが達成されれば、それが1.8℃に抑えられる、というのが国際エネルギー機関(IEA)の(やや楽観的な)試算です。

2大国も協調

ただ、1.5℃の目標には遠いようです。また、ネットゼロは長期の方針であり、欧米や日本などは、2050年の達成を視野に入れています。努力は各国の自主性に委ねられており、達成されるか否かは不確かです。

それでもCOP26で、当面の優先事項や日程がより明確になった上、国際協調のムードが高まったことを、前向きに評価すべきです。10日には米国と中国が、温暖化対策で協力する旨の共同宣言を発表し、世界を驚かせました。摩擦の絶えない2大国ですが、人類共通の目標に向けては、連携するしかないのです。

我が国は逆行?

COP26では、開催国のジョンソン首相が熱心でした。英国は、石炭を動力源とする産業革命(18世紀~)の発祥国です。次は脱石炭などを推進することで、環境対策をリードしようと英国は意気盛んです。

とはいえ、COP26で最も喝采を浴びたのは、米国のオバマ元大統領でした。オバマ氏は、相も変わらぬ格調高い演説で、若い環境活動家らを激励したのです。そのように世界が高揚する中、環境問題に対し、日本人はやや冷めています(図表1)。身近なことに精一杯で、環境に配慮する余裕がないのでしょうか?

持続的利益を

しかし、世界で展開する日本企業は、グローバルな視野を持たねばなりません。そして現在、世界の金融機関が注視するのは「ESG」であり(図表2)、その中核をなすのは、気候変動など環境の問題です。

投融資先の環境対策を考慮することは、今後、一段と重要になります。COP26でも、世界の多数の金融機関が、脱炭素を支援する点などで歴史的な合意に達しました。金融機関や投資家が突然良心に目覚めたというより、持続的な利益を保つには環境破壊の抑止が不可欠、との認識が、今や常識となったのです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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