来週の金融市場見通し(2018年12月24日~2019年1月4日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げを決定するとともに、政策金利見通しを引き下げましたが、市場では想定よりタカ派(金融緩和縮小に慎重ではない)との見方が広がりました。他方、米国では暫定予算をめぐり、メキシコ国境の壁建設費用で、上下院、トランプ大統領が折り合わないと、21日深夜に一部の政府機関が閉鎖されます。政府機関閉鎖なら、一段とリスク回避の動きが強まる可能性があります。
◆株価 : 日経平均2万円割れも
日経平均株価は2万円割れの場面も想定されます。中国、欧州、日本の景気が減速傾向にある上、現在は好調な米景気についても、来年は減速が予想されます。また、米国の利上げペースが鈍化するとの観測などからドル安・円高圧力が高まっていることも、日本株を圧迫しそうです。とはいえ、最近の大幅下落で日本株の割安感が鮮明になりつつあることから、米中通商協議の進捗などをきっかけに株価が上昇に転じる可能性もあります。
◆長期金利 : 居所を探る
株価の大幅下落や、米長期金利の低下を背景に、国内の長期金利は一時0.01%と、1年3か月ぶりの水準まで低下。週末は、低下し過ぎとの見方に加え、米長期金利が上昇に転じたことから、国内の長期金利も上昇する動きになりました。日銀金融政策決定会合は現状維持で日銀は動かず。他方、来年度の国債発行計画で国債発行が減額されることは、金利上昇の抑制要因です。米長期金利の動きをにらみながら、居所を探る展開が続きそうです。
◆為替 : ドル円は底打ちを探る展開か
米長期金利の低下を受けたドル売りに加え、米政府機関閉鎖への警戒、株価の大幅下落を背景に、逃避通貨とされる円を買う動きも広がり、ドル円は一時110円台まで下落。米政府機関閉鎖が回避できれば、投資家心理が改善し、ドル買いが優勢になる可能性も。FRBは政策金利見通しを引き下げたものの、利上げを継続する姿勢を示していることや、米長期金利の低下が一服していることから、ドル円は底打ちを探る動きになりそうです。
◆Jリート : 内外の金融市場の落ち着き待ち
内外の株価が大きく下落し、投資家心理が悪化する中、東証REIT指数は売りが優勢。長期金利が低下したことから、株価と比べて下げは限定的だったものの、週末には長期金利の上昇もあり、東証REIT指数は11月上旬以来の1,750ポイント台まで下落しました。投資家心理が大きく悪化しており、積極的には買いにくい状況ですが、金融市場が落ち着いてくれば、相対的に高く、安定した分配金利回りに着目した買いなどが広がりそうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(11月、速報値) 12月28日(金)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は10月に前月比2.9%上昇し、105.9(2015年=100)となりました。ただ、これは地震など自然災害の影響で9月に低下した反動とみられ、世界経済の先行き不透明感などを背景に、生産の基調は依然として勢いを欠いています。在庫が積み上がったままであり、その調整が必要であることも踏まえれば、11月の鉱工業生産は前月比低下に転じる可能性が高いと考えられます。
米雇用統計(12月) 1月4日(金)午後10時30分発表
11月の米雇用統計において、失業率は前月に引き続き約50年ぶりの低水準である3.7%を維持したものの、非農業部門就業者数は前月比15万5,000人増と市場予想(同20万人増程度)を下回りました。また、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は2か月連続で前年比3.1%増と大きな伸びを記録しました。
米国は個人消費を中心に景気拡大が継続しており、労働市場は極めて好調な状況です。賃金も堅調な動きを示しています。12月の非農業部門就業者数は前月比18万人程度の増加、失業率は3.7%、平均時給は前年比3.0%程度の上昇と引き続き強い結果を想定しています。
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