来週の金融市場見通し(2018年9月3日~2018年9月7日)

■来週の見通し

北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をめぐり、米国とメキシコ間で基本合意しました。米国とカナダとの再交渉がまとまると、米通商政策への警戒が和らぐ可能性があります。他方、トランプ大統領は中国からの輸入品2,000億ドル相当への関税を6日までの意見募集が終了次第発動したい意向を示しました。中国は米国製品600億ドル相当への関税賦課で報復する構え。米中貿易摩擦解消には時間がかかりそうです。

◆株価 : やや軟調な展開か

世界的な貿易摩擦問題や一部新興国を取り巻く経済不安などにより、日本株はやや軟調な展開が予想されます。とはいえ世界経済の拡大傾向に大きな変調はみられず、米政権による対中国の追加関税が懸念される中でも、日本株の底堅さが示されています。こうした中、北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐり米国とカナダの交渉が合意に達した場合などには、日経平均株価が一時2万3千円台へ乗せる展開もあり得ます。

◆長期金利 :日銀にらみ

日銀が市場機能に配慮して国債買入れオペの金額を減らすのではないかとの思わくが広がり、長期金利はやや上昇。日銀は週末、長期国債の買入予定を発表しましたが、残存期間1年超10年以下の買入れ額のレンジの上限を引き上げる一方、オペの回数を減らし、月間の買入れ額が減る可能性が出てきました。来週は、国債買入れオペの金額など確認しながら、居所を探る展開になりそうです。3日の黒田総裁の講演も確認したいところです。

◆為替 : 徐々にドル円下落リスク高まるか

堅調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景にドル円の下値は限られそうです。しかしトルコやアルゼンチンの経済混乱から新興国通貨安や資金流出が継続しています。また、トランプ米大統領から2,000億ドル規模の対中追加関税を来週中にも発動したいとの意向が示され、ドル円の上値は重くなっています。しばらくは111円を中心に、もみ合い相場継続の様相ですが、徐々にドル円の下落リスクが高まっています。

◆Jリート : 一進一退

Jリートは、週央までは底堅い動きが続きましたが、長期金利が上昇したことを嫌気し、週後半はやや売りに押される展開になりました。Jリートの予想分配金利回りは4.1%強と相対的に高い水準。長期金利の上昇余地は数ベーシス・ポイント(1ベーシス・ポイント=0.01%)程度と限定的ですが、若干の上昇でも売り材料になるのはやややっかいです。来週も米通商政策や長期金利の動きをにらみながら、方向感を探ることになりそうです。

来週の注目点

毎月勤労統計(7月) 9月7日(金)午前9時発表

毎月勤労統計調査によると、6月(確報値)の従業員1人あたり名目賃金は前年比3.3%増となりました。「きまって支給する給与」が同1.3%増となった一方、「特別に支払われた給与」は同6.3%増と、大幅な伸びを示しました。企業業績の拡大を受けた夏のボーナス増加が寄与しました。また、名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は同2.5%増と、2か月連続で増加しました。ただし、ボーナスについては多くの企業が例年よりも前倒しで支給した可能性があります。そのため、今回発表される7月の賃金は6月に比べ小幅な増加にとどまる見込みです。

米雇用統計(8月) 9月7日(金)午後9時30分発表

7月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は市場予想を下回り、前月比15万7,000人増となる一方、失業率は3.9%と前月より低下しました。また、今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給は前年比2.7%増と前月と変わらずでした。米国は個人消費を中心に景気拡大が継続しています。製造業の雇用者数は順調に増加していますが、サービス業の増加ペースは若干減速が見られます。また、賃金の伸びは低調でインフレ期待の上昇はみられません。8月の非農業部門就業者数は19万人程度の増加、失業率は3.8%、平均時給は前年比2.7%増程度を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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