来週の金融市場見通し(2018年8月27日~2018年8月31日)

■来週の見通し

米中両国は貿易協議を22日に再開させる一方、23日には互いに相手国からの160億ドル相当の輸入品への追加関税を発動させました。今回の協議では大きな進展はなかった模様ですが、今後も対話を継続していくとしています。他方、トランプ米大統領の顧問弁護士だったコーエン被告は、選挙資金法違反などの罪を認め、それがトランプ氏の指示だったと証言しました。米国の政治リスクにも注意が必要です。

◆株価 : 円安などが支えに

為替が一旦円安へ振れたことや日米景気の拡大基調などを背景に、日本株は底堅い展開が予想されます。22-23日の米中通商協議では大きな進展が示されなかったものの、事態打開へ向けた協議が始まったことは前向きに評価できます。ただ、一段の円安余地は限定的と考えられること、トルコなど新興国をめぐる経済不安がくすぶっていることなどを踏まえれば、日経平均株価が2万3千円を大きく上回る展開は想定しにくいとみられます。

◆長期金利 : 低位横ばい

長期金利は、0.090~0.095%と一段と狭いレンジでの動きになっています。日銀の国債買入れオペのオファー金額は増減なしで、日銀が今の金利水準を容認している格好です。日銀が長期金利の0.2%程度までの上昇を容認したことから、長期金利は低下しにくいものの、米中貿易摩擦やトルコ情勢への警戒に加え、米国の政治リスクが浮上する中、金利上昇も限定的。米長期金利の動きなども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : 戻りを試すもドルの頭は重い

堅調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景に基本的には今週もドル円の下値は限られそうです。しかしトルコやベネズエラなど新興国経済の混乱は続いており、中国株式市場も低迷しています。また、オーストラリアの政治混乱も波乱要因です。しばらくは111円を中心に、もみ合い相場継続の様相ですが、米国の利上げはすでに市場に織り込み済みであり、次第にドル円の下方リスクが高まっていると考えています。

◆Jリート : 上値を探る

東証REIT指数は、週初に一時1,739ポイントまで下落したものの、相対的に高い利回りに着目した買いなどから持ち直し、週末には1,760ポイントを回復しました。長期金利は0.1%前後での低位で推移することが見込まれる中、Jリートの予想分配金利回りは4.1%強と依然として高い水準です。底堅い動きが続く中、長期金利の動きや貿易問題をめぐる米中の動向などを確認しながら、上値を探る展開となりそうです。

来週の注目点

消費者物価指数(7月、全国) 8月24日(金)午前8時30分発表

全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は6月に前年比プラス0.8%となった後、7月についてもプラス0.8%が見込まれます。

最近の物価上昇は原油高によるエネルギー価格の上昇が主因であるものの、原油価格は足元、軟調な動きとなっています。また、消費者の節約志向が根強いため、大幅な値上げは容易でない状況です。そのため、物価上昇率は今年、来年とも0%台にとどまる見通しです。日銀のインフレ目標(2%)達成が展望できない中、金融緩和策のさらなる調整が今後必要になりそうです。

ユーロ圏製造業PMI(8月) 8月23日(木)午後5時発表

7月のマークイットユーロ圏総合PMIは54.3と市場予想を大きく下回り、景気は一進一退であることを印象付けました。一方で製造業PMIは55.1と先月の54.9から改善し、7か月ぶりの前月比上昇となりました。

最新のPMIデータは企業の景況感が依然として不安定であることを示しています。労働市場の引き締まりは継続していると思われるものの、特に域外からの新規受注は減少傾向にあり、一旦持ち直しの動きが見えた製造業の先行きは不透明感に包まれています。しかし低下ペースは明らかに和らいでおり、各PMIが55前後で推移していることは域内経済が過去の実績と比較して緩やかながら現在も拡大していることを示していると思われます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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