来週の金融市場見通し(2018年8月13日~2018年8月17日)

■来週の見通し

日米新貿易協議(FFR)は、9日の会合では合意に至らず、10日も協議を続ける予定です。自動車関税の引上げや市場開放などで具体的に合意した場合、内容次第では相場の重しになる可能性があります。米政権が知的財産権侵害に対する中国への制裁関税の第2弾(160億ドル相当)を23日に発動すると発表、中国も同規模の報復関税を発動すると表明しました。米中貿易摩擦にも引き続き注意が必要です。

◆株価 : 通商問題を警戒

米中貿易摩擦への警戒が重しになりながらも、堅調な企業業績が下支え材料になり、日経平均株価は一進一退の動きが継続。ただ週末には、FFRの不透明感や、トルコリラ急落の欧州銀行への影響などが懸念され、軟調な動きになりました。内外の良好な企業業績が続く中、中国株が一旦下げ止まったのも安心材料。決算発表も峠を越え、米中貿易摩擦や日米通商協議、トルコ情勢などをにらみながら、方向感を探ることになりそうです。

◆長期金利 : 一進一退

長期金利は、日銀金融政策決定会合の前後は大きく動いたものの、今週に入り、0.10~0.11%の非常に狭いレンジでのこう着した動きになっています。日銀が長期金利の上昇をある程度容認したものの、長期金利の上昇を受け2日には臨時の国債買入れオペを実施し、長期金利の上昇を抑制したことから、動きにくい状況になっています。米長期金利も落ち着いた動きが継続しています。国内金利の方向感は出にくそうです。

◆為替 : 日米新貿易協議後の展開に注目

引き続き堅調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景にドル円の下値は限られそうです。一方で中国が160億ドルの対米報復関税を発表するなど、米中貿易摩擦の今後の展開は不透明なままです。また、日銀の政策調整を受けた日本の長期金利は若干上昇にシフトしており、ドル売り円買い要因です。FFRも開始されており、結果次第ではドル円を下押しする要因となりそうです。

◆Jリート : 戻りを探る

Jリートは、国内株が上昇する場面では資金が株式市場にシフトし売りが優勢に、国内株が下落する場面では投資家心理が悪化し売りが優勢になるなど、やや売りに傾いています。もっとも、東証REIT指数が1,750ポイント前後まで下落すると押し目買いが広がり、底堅い動きは継続しています。長期金利は0.1%程度で推移する一方、Jリートの予想分配金利回りは4.1%程度と高い水準です。一進一退の中、戻りを探る展開になりそうです。

来週の注目点

貿易統計(7月) 8月16日(木)午前8時50分発表

貿易収支は6月に7,208億円の黒字となった後、7月も黒字基調が確認される見込みです。世界的な貿易摩擦が懸念されますが、現時点の影響は限定的とみられます。

今年上半期(1~6月)は、輸出が前年比6.2%増となったものの、原油高などを受け、輸入がそれ以上の伸び(同7.5%増)を示しました。この結果、貿易黒字は前年比40.3%減と、大幅な減少となりました。下半期についても、中国などアジア向けを中心に輸出は堅調な推移が見込まれます。ただ、原油価格の高止まりが予想されるため、貿易収支は比較的小幅な黒字にとどまる見通しです。

米小売売上高(7月) 8月15日(水)午後9時30分発表

米国の6月の小売売上高は前月比0.5%増と市場予想通りながら5か月連続の増加となりました。特に自動車販売が増加しました。また、オンライン販売などの無店舗小売りは昨年11月以来の大幅な伸びとなりました。

6月はガソリン等の燃料コストが全体を押し上げた可能性はあるものの、飲食店、健康食品、自動車販売、建設資材など広い分野で小売売上高は堅調に推移しています。7月はここまでの増加の反動も想定され、同0.2%程度の増加が見込まれます。米国では個人消費主導で景気拡大が続いています。また、先に実施された減税政策で消費者の購買意欲が復活しており、今後も小売売上高の堅調さは継続すると思われます。

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