来週の金融市場見通し(2018年8月6日~2018年8月10日)

■来週の見通し

日銀は、長期金利の変動をある程度許容する、またETF買入れでTOPIX連動型の割合を拡大するなど持続可能な金融緩和の枠組みに修正しました。株式や為替市場の反応は限定的でしたが、債券市場はやや不安定な動きに。他方、トランプ米大統領が2,000億ドル分の中国製品に対する追加関税の税率引き上げを指示し、米中の貿易摩擦への警戒感が再び強まっています。日米通商協議(FFR)も確認したいところです。

◆株価 : やや軟調な展開か

日本株は、やや軟調な展開が予想されます。特に米中の貿易摩擦に対する懸念が、中国株や人民元の下落を通じて市場心理を圧迫しそうです。また、日本の景気拡大は力強さを欠いており、10日に発表される4-6月期の経済成長率も小幅なプラスにとどまる見込みです。さらに、日銀が7月31日に政策調整を決めた後、実際の運営には不透明感が残ります。ただし、大幅なドル安・円高は想定しにくいため、日本株の下値も限られそうです。

◆長期金利 : 居所を探る

日銀は長期金利について0.2%程度までの上昇を容認しました。長期金利は一時0.145%まで上昇するなど、不安定な動きになりましたが、日銀が臨時の国債買入れオペを実施したことでやや落ち着いた動きに。利回りを指定し金額無制限で買入れる指し値オペではなかったため、日銀が目先どの程度の金利上昇を容認するかはまだ不透明な状況。日銀の国債買入れオペの金額の増減などを確認しながら、居所を探る動きが続きそうです。

◆為替 : 方向を模索

堅調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景にドル円の下値は限られそうです。パウエルFRB議長は定例会合において、米国景気は力強く、インフレ率は2%近辺で推移すると自信を示しました。一方で米国の保護貿易政策をめぐる今後の展開は予断を許さず、また、日銀の政策調整を受けた日本の長期金利の動向は要注意です。ドル円の上値も限られ、110-113円程度のレンジ内で方向感に乏しい展開が続くでしょう。

◆Jリート : 金利にらみも底堅い

日銀が金融政策を修正して長期金利が上昇した場合、Jリートの利回り面での魅力が薄れるとの見方が一旦広がりましたが、長期金利の上限は0.2%程度と限定的。注目された日銀金融政策決定会合を通過したことで、金融政策変更への警戒はひとまず後退した格好です。債券市場が落ち着いてくると、安心感が広がりそうです。米中貿易摩擦への警戒が再燃していますが、海外要因の影響を受けにくいJリートは底堅い推移が見込まれます。

来週の注目点

GDP統計(18/4-6月期、1次速報) 8月10日(金)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、1-3月期に前期比年率マイナス0.6%となった後、4-6月期については1%台のプラス成長が見込まれます。

4-6月期は、好調な企業業績や人手不足を背景に設備投資の堅調な増加が見込まれます。個人消費については、1-3月期に天候不順などもあり前期比マイナスとなった後、4-6月期は小幅なプラスとなりそうです。しかし、所得の伸び悩みを背景に消費の基調は弱く、今年の年間GDP成長率は1%前後にとどまる見通しです。

米消費者物価指数(7月) 8月10日(金)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は6月に総合CPIで前年比2.9%の上昇となり、2012年以来で最大の伸びとなりました。食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.3%の上昇となり、2017年1月以来の伸びとなりました。

米国では個人消費を中心に景気拡大が継続しています。また、先の税制改革を受けて家計の可処分所得は増加しています。足下、宿泊費や公益事業費など一部低下も見られますが、食品、輸送費、サービス価格等、趨勢としては緩やかな上昇傾向にあります。7月の総合CPIは前年比3.0%程度、コアCPIは同2.3%程度を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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