来週の金融市場見通し(2018年4月30日~2018年5月11日)

■来週の見通し

欧州中央銀行(ECB)理事会、日銀金融政策決定会合ともに、金融政策は現状維持。他方、米国では長期金利が4年3か月ぶりに3%台に乗せましたが、2月の米金利上昇時のようなリスクオフ(回避)の動きは限られました。5月1、2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も現状維持の見込み。4日の米雇用統計で今後の米利上げペースを占うことになります。国内では11日に決算発表のピークを迎えます。

◆株価 : 日米の決算次第では一段の上昇も

リスク回避の動きが一服する中、日経平均株価は引き続き底堅い展開が予想されます。ドル高・円安へ振れていることや、米中貿易摩擦への警戒感がひとまず和らいでいることが、相場を支えそうです。さらに日米の企業決算が予想を大きく上回った場合、一段の株価上昇も期待できます。ただし、逆に決算が期待外れに終わった場合や、米長期金利の上昇が加速した場合などには、利益確定売りに圧迫される可能性があるため、要注意です。

◆長期金利 : 米金利に振らされながらもレンジ内

米長期金利は米国債増発懸念、物価上昇観測、地政学リスクの後退、米中貿易摩擦への過度な警戒の後退などから3%台に乗せましたが、国内金利の上昇は小幅にとどまりました。日銀は物価目標の達成時期の文言を削除しましたが、債券市場の反応は限定的でした。黒田日銀総裁は会合後、物価と19年度以降の成長率については下振れリスクが大きいと発言。金融政策の正常化は遠く、国内金利は低位で推移するとみられます。

◆為替 :  円安地合いも上値は重そう

米中貿易摩擦問題等が一旦後退していることから、来週は堅調な推移を見せる米国景気と上昇傾向にある米長期金利を背景に、基本的にはリスク選好のドル買いが優勢となりそうです。とはいえ、米長期金利が3%台で推移を続けることで、米株価が大きく調整するような局面ではリスク回避の円買いが予想されます。世界的に株式市場のボラティリティは上がっており、リスク回避の動きが出やすいことから、ドルの上値も限られるでしょう。

◆Jリート :  底堅い

東証REIT指数は1,700ポイントを下回らず総じて堅調な地合いが継続しました。株式相場の上昇で投資家心理が改善したことが背景。森トラストは、オフィスビルは2018~20年の3年間で大量供給される一方、21~22年は反動で過去平均の約半分まで減るという見通しを公表しました。利益確定売りに押される場面も想定されますが、オフィス市況悪化への過度な警戒は後退しており、Jリートは底堅く推移しそうです。

来週の注目点

毎月勤労統計(3月) 5月9日(水)午前9時発表

毎月勤労統計調査によると、2月(確報値)の従業員1人あたり名目賃金は前年比1.0%増となりました。ただ、物価が上昇しているため、これによって調整した実質賃金は同0.8%減と、大きめの減少となりました。

安倍首相は経済界に3%以上の賃金引上げを要請しています。しかし今春闘における大企業の賃上げ(ベースアップおよび定期昇給)は2.5%程度にとどまる見込みです。一方、原油高などにより物価は当面上昇が予想されることから、実質賃金は引き続き低迷する見通しです。そのため消費の力強い回復は期待しにくいでしょう。

ユーロ圏GDP統計(18/1-3月期、速報値) 5月2日(水)午後6時発表

ユーロ圏の実質域内総生産(GDP)は、昨年10-12月期に前期比0.7%増と高めの成長率を維持しました。設備投資の持ち直しが続いた上、雇用の回復を受け消費なども底堅く推移しました。

ただ、今年1-3月期については、前期比0.4%増程度の成長率へ減速する見込みです。昨年からのユーロ高が輸出の逆風となったほか、寒波やストライキといった一時的要因に圧迫された可能性があります。成長率が顕著に低下した場合、欧州中央銀行(ECB)による金融政策の正常化(資産買入れの終了など)が後ずれする可能性もあるため、今回のGDP統計は要注目です。

米雇用統計(4月) 5月4日(金)午後9時30分発表

3月の雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比10万3,000人増と市場の予想を大幅に下回り、失業率は6か月連続で2000年以来の低水準である4.1%となりました。平均時給は前年比2.7%増となり、市場予想通りで前月から加速しました。

米国は株価が2月以降、大きく調整しているものの、景気拡大が継続しており、4月の非農業部門就業者数は18万人程度の増加、失業率は3月同様、4.1%を想定しています。今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給は、労働市場のひっ迫からやや強めの前年比2.8%程度の伸びを想定しています。

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