来週の金融市場見通し(2018年3月12日~2018年3月16日)
■来週の見通し
トランプ米大統領が8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を命じる文書に署名しましたが、同盟国については適用除外となる余地があり、過度な警戒は後退しました。また、トランプ氏が米朝首脳会談に応じる意向を示したことを受け、緊張緩和への期待が広がりました。もっとも、米国の輸入制限については、今後の動向を注視する必要があります。米消費者物価指数、米小売売上高なども確認したいところです。
◆株価 : 底堅い展開に
日経平均株価は、米国発の貿易戦争(輸入制限の応酬など)への懸念などから、不安定な展開となっています。週末(9日)にはその懸念がやや後退したことに加え、米朝首脳会談に向けた動きが一旦好感されたものの、慎重ムードは払しょくされませんでした。とはいえ、当面のリスクが和らぐ中、日本株は来週、底堅い展開が予想されます。ただ、米国のインフレや保護貿易政策への警戒感は根強く、一本調子の上昇とはならない見込みです。
◆長期金利 : 0.05%前後でのもみ合い
前週末に高まった日銀の金融政策が早期に正常化へ向かうとの観測が後退する中、日銀は9日、金融政策の維持を決定しました。米国の輸入制限や北朝鮮情勢への警戒がやや後退していることは、国内金利の上昇要因。もっとも、保護貿易への警戒は依然としてくすぶっていることに加え、国会が混乱しており、長期金利の上昇を抑えそうです。黒田総裁は強力な金融緩和を堅持する姿勢を示しており、長期金利は低位での推移が見込まれます。
◆為替 : ドル安地合い継続か
ドル円は、今週トランプ大統領の保護貿易政策にまつわる要人発言を受け106円台中心に乱高下。特に輸入関税賦課反対派のコーン米国家経済会議(NEC)委員長の辞任表明を受け一時急落しました。来週は今週末の米雇用統計の結果や保護貿易政策に関する続報を吟味しながら、基本的にはドルじり安の展開を予想。米消費者物価指数(CPI)など複数のインフレ指標の発表を控えており、今後の米国のインフレ動向、長期金利の動きに注目です。
◆Jリート : 戻りを探る
トランプ政権の保護主義への警戒が広がる中、割安感があるとして買いが優勢になる場面があったものの、国内機関投資家の期末対策の売りなどに押され、やや軟調な動きに。日銀が強力な金融緩和を堅持する姿勢を示していることは安心材料。予想分配利回りも4.2%強と高い水準。保護貿易政策への警戒が後退すると、押し目買いが広がる可能性も。米雇用統計などで米利上げが加速するとの観測が強まることには注意が必要です。
■来週の注目点
機械受注(1月) 3月14日(水)午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、昨年12月に前月比11.9%減の7,926億円となりました。
12月に大幅減となったため、1月はその反動で前月比増加に転じる見込みです。ただ、製造業では、輸出増に伴う設備投資需要が一巡しつつある模様です。一方、非製造業では、人手不足を背景に、省力化投資への意欲は依然旺盛です。これらより、1-3月期の機械受注は、前期比で小幅な増加を維持するものと予想されます。
米消費者物価指数(2月) 3月13日(火)午後9時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は1月に総合で前年比2.1%の上昇、食品とエネルギーを除くコアCPIで同1.8%の上昇となり、ともに市場予想を上回りました。同指数を受けて、米長期金利が2.9%まで上昇しました。
米国では個人消費主導の堅調な景気拡大が続いています。ようやく賃金の上昇傾向が顕著になる中、エネルギー価格や医療費、被服費などの価格上昇が続いており、2月も堅調な伸びが予想されます。総合で前年比2.2%程度、コアCPIで前月並みの同1.8%程度の上昇を想定しています。
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