来週の金融市場見通し(2018年2月26日~2018年3月2日)

■来週の見通し

昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる政策金利見通し(中央値)では、今年の米利上げ回数は3回。ただ、この利上げペースが加速すると、これまでの緩やかな利上げを前提にしてきた市場の金利観が修正を迫られる可能性があります。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)新議長の金融政策運営への関心は高く、2月27日、3月1日の議会証言に注目が集まります。

◆株価 : 下値不安後退も上値は重い

2月上旬の世界同時株安を経て、株式市場は総じて落ち着きを取り戻しつつあります。ただ、米国の長期金利上昇への警戒感がくすぶる中、日経平均株価は2万2,000円付近で戻り売りに押される場面が目立ちます。今後も堅調な企業業績が株価を下支えすると見込まれる一方、米金利上昇を受け米国株が下落すれば、日本株も調整を余儀なくされそうです。円高にも圧迫され、日経平均株価は小幅な上昇にとどまると予想されます。

◆長期金利 : 低位でのもみ合い

米長期金利が一時2.95%まで上昇したものの、国内金利への影響は限定的。日銀が金利上昇を抑制する姿勢を示していることや、黒田日銀総裁が続投する見通しになったことを受け、国内債は買いが優勢。20年国債入札も順調な結果となり、需給もしっかり。ただ、長期金利が0%に近づくと警戒感も広がりそう。パウエル新FRB議長の議会証言などで、米利上げペースが速まるとの観測が強まると、国内金利にもやや上昇圧力がかかる可能性も。

◆為替 :  ドル安の動き再開か

ドル円は、先週の急落の反動からドル高基調で推移し、水曜日には108円近くまで上昇。しかし上昇基調で推移する米長期金利の動きへの反応は鈍く、戻りは限定的。来週は米国の双子の赤字拡大懸念を背景に再びドルじり安の展開か。景気拡大中の大幅減税やインフラ投資拡大による財政赤字拡大懸念は大きく、また、トランプ政権の抱えるロシア疑惑、中東の地政学リスクなどもドル売り要因。パウエル新FRB議長の議会証言も注目です。

◆Jリート : 一進一退の中、上値を探る

東証REIT指数は、投資家心理が改善する中、しっかりの動き。ただ、1,700ポイントを回復して以降は、一進一退の動きが継続。米金利上昇にもかかわらず、日銀の強力な金融緩和を背景に国内の金利がじりじりと低下していることは安心材料。東証REIT指数が1,700ポイントでも、予想分配利回りは4.1%程度と相対的に高い水準。米金利政策にやや神経質になっている内外の金融市場が落ち着いてくれば、上値を探る動きも想定されます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(1月、速報値) 2月28日(水)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は 昨年12 月に前月比 2.9%上昇の 106.5(2010 年=100)となりました。四半期ベースでは10-12月期に前期比1.8%上昇と、7期連続で上昇しました。

1月の鉱工業生産指数は一旦低下する見込みですが、自動車や電子部品などに関連した輸出や設備投資の増加を背景に、1-3月期では上昇基調を持続する見通しです。こうした中で経済産業省は、生産の基調判断を「持ち直している」に据え置くものと見込まれます。

米個人消費支出(1月) 3月1日(木)午後10時30分発表

昨年12月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増、個人所得は同0.4%増となるなど、堅調なペースで拡大しました。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が物価目標の基準とするPCE価格指数は前年比1.7%上昇となり、若干停滞感の残る結果となりました。とはいえ米国では個人消費主導の景気拡大が続いており、1月の個人消費支出は前月比0.2%程度、個人所得は同0.3%程度の増加を予想するとともに、消費者物価指数、卸売物価指数とも1月は上昇傾向にあることから、PCE価格指数は前年比1.8%程度の上昇を想定しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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