来週の金融市場見通し(2018年2月19日~2018年2月23日)
■来週の見通し
恐怖指数と呼ばれ投資家の不安心理を表すVIX指数は19台まで低下し、平時の水準とされる10~20の範囲に戻ってきました。国内では、注目された日銀総裁、副総裁の人事案が示されました。日銀総裁は黒田総裁が再任、副総裁には雨宮日銀理事、若田部早稲田大学教授。これまで黒田総裁を支えてきた雨宮氏、金融緩和に前向きとみられる若田部氏が指名されたことで、強力な金融緩和が堅持されそうです。
◆株価 : 戻りを探る
米国株式市場が15日まで5日続伸するなどやや落ち着きを取り戻す中、国内株は日経平均株価が一時2万1,000円を割れるなど、荒れた展開が継続。とはいえ、週末にかけては、ドル円の下落にもかかわらず、下げ幅を縮小し、日経平均株価は2万1,720円まで持ち直し。米国の金融市場が一段と落ち着いてくれば、国内でも買い安心感が広がりそうです。ただ、ドル円が大きく下落しており、国内株の上値を抑える可能性があります。
◆長期金利 : 0.05%前後でのもみ合い
米長期金利が一時2.94%まで上昇しましたが、国内の債券市場の反応は限定的。日銀が2月2日に、利回り指定して金額無制限で国債を買入れる指値オペを実施して以来、長期金利は上昇しにくくなっているとみられます。日銀総裁、副総裁人事では、現行の強力な金融緩和策が継続する見込みであることも安心材料です。日銀の国債買入れオペのオファー金額の増減を確認しながら、0.05%付近でもみ合う動きになりそうです。
◆為替 : 円高一服か
ドル円は前週の109円前後から105円台に急落。米長期金利が大きく上昇しても、ドル円は逆に下落する動きに。米株式市場がやや落ち着き、投資家のリスク回避による円買いが後退しても、ドル安・円高の流れは変わらず。米国の財政悪化懸念に加え、麻生財務相が為替相場について「特別に介入が必要なほどの水準ではない」と述べ、円高容認との観測が広がったことも、ドル円の下落要因。来週は手掛かり難で、戻りを試す可能性も。
◆Jリート : 戻りを試す
東証REIT指数もやや荒れた動きになり、15日には一時1,640ポイントを割り込みました。ただ、以降は内外の株式市場が持ち直す中、Jリートも買いが優勢に。日銀が強力な金融緩和策を堅持する中、黒田総裁が続投するとの見方から、長期金利が低下したことも、Jリートの買い材料に。内外の金融市場が一段と落ち着くと、Jリートは戻りを試す展開も想定されます。
■来週の注目点
貿易統計(1月) 2月19日(月)午前8時50分発表
貿易収支は12月に3,587億円の黒字(黒字は7か月連続)となった後、1月は一旦赤字に転じる見込みです。
2017年の輸出は前年比11.8%増となりました。品目別では半導体関連や自動車など、国・地域別ではアジア向けや米国向けが堅調でした。特に中国向けは同20.5%増となり、輸出額は過去最大を記録しました。今年も世界経済の拡大を背景に、輸出の底堅い推移が見込まれます。ただ、原油高や内需の持ち直しなどに伴い、足元では輸入の伸びが輸出の伸びを上回っています。そのため、貿易黒字については昨年に比べ縮小する見通しです。
米景気先行指数(1月) 2月23日(金)午前0時00分発表
米民間調査機関コンファレンスボードが発表する景気先行指数は、労働、企業業績など景気に先行して動くと考えられる複数の指標から算出した米国の景気の先行きを占う数値です。同指数は12月に前月比0.6%上昇し、市場予想の同0.5%を上回りました。これは同指数の主要構成要素である製造業の新規受注が大きく伸びたためです。
米国では長期金利の上昇を懸念し、株価の大きな調整が発生していますが、基本的には個人消費主導の力強い景気拡大が続いており、1月は非農業部門雇用者数の堅調な推移、鉱工業生産の盛り上りなど強い米国の景気拡大を受け、引き続き前月比0.7%程度の増加を見込んでいます。
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