来週の金融市場見通し(2017年12月25日~2018年1月5日)

■来週の見通し

米議会上下両院は20日、税制改革法案を可決しました。減税による米経済の押し上げ効果は限定的とみられますが、企業利益の押し上げが見込まれます。ただ、財政赤字の拡大は避けられないとみられます。また、米上下院は来年1月19日までの支出を手当てするつなぎ予算案を可決し、政府機関の一部閉鎖を回避しました。しばらくは、米税制改革の経済や市場への影響を確認していくことになりそうです。

◆株価 : 2万3,000円の壁を突破できるか

国内株は高値圏でのもみ合いが続きました。米国の税制改革法案可決や、政府機関の閉鎖回避は下支え。ただ、ドル円が113円台まで上昇したものの、日経平均株価の上昇は2万3,000円の壁に阻まれ限定的となりました。米税制改革法案をめぐる不透明感などが払しょくされたことは安心材料ですが、織り込み済みとして米国株の上昇が鈍くなると、国内株も上値を抑えられそうです。一方、2万3,000円を突破すると、一段高の可能性も。

◆長期金利 : 一進一退

長期金利は、米国で財政悪化への警戒が強まり、米長期金利が2.5%まで上昇したことを受けて一時0.065%まで上昇するなど、やや不安定な動きになりました。日銀金融政策決定会合は現状維持。黒田総裁の記者会見では、現行の強力な金融緩和政策を堅持する姿勢を示しました。来年度の国債発行予定額が減額されたことも長期金利の押し下げ材料。米金利が落ち着いてくれば、国内の長期金利も0.05%前後でのもみ合いに戻りそうです。

◆為替 : 米長期金利にらみ

ドル円は、大幅な法人減税を含む米税制改革法案が上下院で可決し、成立の見通しとなったことを受け、ドル買い・円売りが優勢。景気浮揚に加え、減税に伴う国債増発への警戒から、米長期金利が2.5%に上昇したことを受け、ドル円は一時113円後半まで上昇しました。ただ、その後は材料出尽くし感からドルを売る動きも出て、113円台前半に。材料に欠ける中、米金利などをにらみながら方向感を探ることになりそうです。

◆Jリート : 一進一退の中、戻りを探る

東証REIT指数は、じりじりと値を下げる動きが継続。来年度の国債発行が減額されることや、日銀の強力な金融緩和政策を背景に、長期金利の低位での落ち着いた動きが見込まれることは安心材料。日銀は18~20日、久しぶりにJリート買入れを実施しました。Jリート買入れについては10月までのペースが速かったため、買入れはありませんでした。年明けからは年間の買入額がゼロにリセットされるため、日銀の買いが期待できそうです。

来週の注目点

鉱工業生産(11月、速報値) 12月28日(木)午前8時50分発表

日本の鉱工業生産指数は10月に前月比0.5%上昇の103.0(2010年=100)と、小幅な上昇にとどまりました。11月については、同3%前後の上昇が見込まれます。

複数の大手企業による不正行為の影響(受注キャンセルなど)もあり、鉱工業生産はやや伸び悩んでいます。ただ、海外経済の拡大を背景に、日本は輸出主導の景気回復基調にあります。そのため、11月から年末にかけ、生産の持ち直しが確認されそうです。

米雇用統計(12月) 1月5日(金)午後10時30分発表

米国では景気の拡大が続いており、12月には米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の予想通り利上げを実施しました。11月の雇用統計では幅広い業種で雇用が増え、失業率は4.1%と10月と変わらなかったものの、非農業部門雇用者数は前月比22万8,000人増加と市場の予想を上回る伸びとなりました。一方で賃金の伸びが市場予想を下回りました。

12月は、引き続き雇用状況の改善が見込まれ、失業率は4.0%程度に低下し、非農業部門就業者数は前月比18万人増程度が予想されます。注目される賃金の上昇率は前月比で0.3%程度の上昇が予想されています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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