来週の金融市場見通し(2017年8月7日~2017年8月11日)

■来週の見通し

3日に第3次安倍第3次改造内閣が発足しました。安倍首相は、経済再生を最優先とし、政策課題で結果を出すことで信頼回復に努める考えを示しました。米国では、トランプ大統領がスカラムチ氏を広報部長に任命して10日で解任。また、同大統領が通商法301条の下、中国の貿易慣行の調査を開始することを検討していると伝えられており、政策運営の不透明感が高まっています。他方、トランプ陣営のロシア疑惑をめぐり、モラー特別検察官が大陪審を設置したと伝えられ、捜査が一段と本格化しているもようです。引き続き、日米の政治動向、政策運営を注視していく必要があります。

◆株価 : 一進一退

日経平均株価は2万円付近での動きに乏しい展開が続いています。企業業績はおおむね良好ですが、北朝鮮のミサイル発射や米ハイテク株安などが重しとなり、方向感がなかなか出ない状況。ドルが弱含んでいるのも、国内株の上値を抑えている格好。来週は、決算発表や為替の動きをにらみながら方向感を探る展開になりそうです。トランプ大統領が、自国の産業保護のため、関税や貿易制限等の一方的な制裁措置を導入するなど、保護主義が強まることには注意が必要です。

◆長期金利 : レンジ継続

長期金利は0.065%~0.075%の狭いレンジでの動きが3週間続いています。米国ではサプライ管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況感指数が11か月ぶりの水準に低下するなど、軟調な経済指標を受け、米金利がじりじりと低下していることも、国内金利上昇の抑制要因。ただ、国内株が良好な企業業績を背景に高値圏で推移しており、積極的に債券を買う材料に欠ける状況。30年国債入札が良好な結果になれば、買い安心感が広がり、長期金利が若干低下する可能性も。

◆為替 : 方向感を探る

ドル円は110円台を中心にした狭いレンジの中、やや上値の重い動きになっています。北朝鮮情勢への警戒に加え、低調な米経済指標を受けて米利上げ観測がじりじりと後退していることや、トランプ政権のロシア疑惑などがドルの重しになっています。もっとも、日銀は強力な金融緩和策を堅持する姿勢を示しており、金融政策の方向性は、ドル高・円安。ただ、8月24~26日に開かれるジャクソンホール会議での欧米の金融当局者の発言を確認するまでは動きにくそうです。

来週の注目点

機械受注(6月) 8月10日(木)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、4月に前月比3.1%減となった後、5月は同3.6%減の8,055億円となりました。今回発表の6月分は増加に転じる見込みですが、四半期ベースでは、4-6月期は前期比減少となる公算です。

もっとも、堅調な輸出などを背景に、製造業の機械受注は底堅く推移しています。これは年後半も継続する可能性が高く、設備投資の増加を通じて、国内総生産(GDP)の拡大に寄与しそうです。一方、個人消費が伸び悩む中、非製造業の機械受注は停滞傾向が続く見込みです。そのため今後の機械受注や設備投資の増加は、緩やかなものにとどまると予想されます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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