来週の金融市場見通し(2017年3月6日~2017年3月10日)

■来週の見通し

トランプ米大統領の議会演説は波乱なく終わりました。具体性は欠いたものの、穏当な姿勢が評価された模様です。他方、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁の発言を契機に、3月の米利上げ観測が急浮上しています。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長、フィッシャー副議長が3月の利上げを示唆すると、一段と利上げを織り込む動きになりそうです。もっとも、10日に米雇用統計、13日ごろにトランプ米大統領による来年度予算のたたき台となる予算教書提出、14-15日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えるため、動きにくい相場が続きそうです。

◆株価 : 高値圏で一進一退

トランプ米大統領の議会演説は波乱なく終わりました。内外の株式市場に安心感が広がったことに加え、3月の米利上げ観測が強まったことを受けて、ドル円が上昇したことを好感し、日経平均株価は一時取引時間中としては2015年12月以来の高値をつけました。3日の講演で、イエレンFRB議長、フィッシャー副議長が3月の利上げを示唆すると、ドル高・円安が進行し、国内株は強含む可能性も。ただ、米株が利上げを警戒する動きになると、国内株の上値も重くなりそうです。

株0303

◆長期金利 : レンジでの動きが継続

日銀が国債買入オペについて事前に日程を公表する方針に変更したことから、今後はオペの実施をめぐる混乱は軽減されるとみられます。今後は、買入額の増減で日銀が適切とみている利回り水準を探ることになります。3日の残存期間10年超の国債を対象とした買入オペでは、予想通りの金額が提示され、安心感が広がりました。3月の米利上げ観測が強まっていますが、日銀が国内金利の上昇を抑制する姿勢を示している限り、長期金利の上昇は限定的となりそうです。

債0303

◆為替 : ドル高地合いも上値は限定的か

ドル円は、米金融当局者の3月の利上げに前向きな発言やトランプ米大統領の議会演説が波乱なく終わったことを受け、一時114円半ばまで上昇するなど堅調な動きになりました。イエレンFRB議長、フィッシャー副議長が3月の利上げを示唆すると、ドル高・円安が一段と進行することも想定されます。もっとも、金融市場は3月の米利上げを大方織り込んでおり、上値が限定的となる可能性も。翌週にトランプ大統領の予算教書提出やFOMCを控え、様子見姿勢も広がりそうです。

円0303

来週の注目点

米雇用統計(2月) 3月10日(金)午後10時30分発表

雇用統計では、1月に非農業部門雇用者数が前月比22.7万人増、失業率が4.8%となりました。2月は、それぞれ約17万人増、4.7%と見込まれます。

雇用の拡大基調が続く中、米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決める、との観測が高まっています。

2月の雇用者数や失業率が上記の見込みに比べ良好な結果となり、かつ、平均賃金の伸びが確認された場合、3月の利上げがほぼ既定路線となりそうです。

辻0303

 

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