来週の金融市場見通し(2016年11月14日~2016年11月18日)

■来週の見通し

注目された米大統領選では、直前の予想を覆してトランプ氏が勝利しました。トランプ氏勝利なら、金融市場が混乱し、リスクオフ(回避)の動きが強まるとの見方が大方だったものの、米金融市場はリスクオン(選好)で反応するなど、“予想外”の結果や展開が続きました。今のところ、米株式市場などは、規制緩和や大規模なインフラ投資、減税などは歓迎するものの、強硬な通商政策や移民政策については議会が阻むとの見方で、いいとこ取りを期待している格好です。トランプ氏が掲げた公約の実現性は、まだ不透明感が強い状況。トランプ氏や共和党幹部の発言などで振らされる場面もありそうです。

◆株価 : トランプ氏にらみ

日経平均株価は、米大統領選でトランプ氏当選の可能性が高まった9日には、一時1万6,100円台まで下落したものの、トランプ氏が掲げる政策への期待が広がり米株が上昇したことや、ドル高・円安が進行したことを受け、11日には一時1万7,500円を上回りました。NYダウが最高値を更新するなど急上昇していますが、トランプ氏の政策運営がまだ不透明な中、短期的な加熱が意識されると、国内株の上昇も一服する可能性があります。トランプ氏の言動にらみとなりそうです。

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◆長期金利 : 上昇も限定的

米金利の急上昇を受け、国内の長期金利も一時マイナス0.025%まで上昇しました。米国では、次期大統領がトランプ氏となったことを受け、巨額のインフラ投資や大型減税で財政支出が拡大し国債発行が増えるとの観測に加え、インフレ圧力が強まるとの見方から、米10年物国債利回りは、選挙前の1.8%台から10日には2.15%まで上昇しました。もっとも、国内の長期金利は、日銀の金融市場調整方針である長期金利ゼロ%程度の水準の範囲内。上昇は限定的となりそうです。

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◆為替 : 高値もみ合い

ドル円は、米大統領選でトランプ氏当選の可能性が高まった9日には、リスク回避の円買いに加え、米利上げ観測の後退から、一時101円20銭まで下落しました。ただ、トランプ氏の経済対策への期待が広がりリスク選好が強まったことに加え、米長期金利の大幅上昇で日米金利差が拡大したことを背景に、ドル円は10日には107円に迫りました。もっとも、トランプ氏の政策運営はまだ不透明なまま。トランプ氏への期待が一巡し、ドル高・円安の動きが鈍くなる可能性もありそうです。

※ドル円の予想レンジつについては、現在見直し中につきグラフには表記しておりません。

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来週の注目点

GDP統計(16/7-9月期、1次速報) 11月14日(月)午前8時50分発表

日本の実質国内総生産(GDP)は、4-6月期に前期比0.2%増(年率0.7%増)となった後、7-9月期も年率1%前後のプラス成長が見込まれます。

項目別では、個人消費において前期比マイナスが見込まれる一方、設備投資は3期ぶりにプラスへ転じる可能性が高いとみられます。また、中国などアジア新興国の景気回復を受け、輸出が大きめの伸びを示す見通しです。

今後については、物価下落を主因に実質賃金が増加していることから、個人消費のさらなる落ち込みは限定的とみられます。また、追加的な財政支出もGDP成長率を下支えしそうです。ただ、潜在成長率(実力の生産力)は高まっておらず、年間の成長率は今年、来年とも0%台後半にとどまると予想されます。

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