来週の金融市場見通し(2016年2月8日~2016年2月12日)
■来週の見通し
市場の注目が、中国から米国の金融政策に移ってきています。これまでは、今年の米国の利上げ回数は、市場は2回、米金融当局は4回を見込んでいましたが、内外金融市場の混乱や米景気指標の低迷を受け、市場では年内利上げなしに傾いてきています。とはいえ、今後の利上げは経済指標などのデータ次第。米雇用統計などの経済指標や10-11日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を確認しながら、米国の利上げペースを占うことになります。
◆株価 : ドル円睨み
日銀のマイナス金利導入を受け、日経平均株価は週初に一時1万7,900円台まで上昇したものの、週末には1万7,000円を割れました。原油価格の下落を受け投資家心理が悪化したことや、米利上げ観測が後退し、ドル円が下落に転じたことが主因。ドル円の下落で、企業業績の先行き不安がくすぶることも相場の重し。来週のイエレン議長の議会証言で、利上げペースに関して市場予想よりも前向きな姿勢が示されると、ドル高・円安となり、国内株も堅調な動きに戻るとみられます。
◆長期金利 : 引き続き居所を探る
日銀のマイナス金利導入を受けて、年限が9年までの国債利回りがマイナスとなり、新発10年債利回りである長期金利も一時0.025%まで低下して、過去最低を更新しました。日本に先んじてマイナス金利を導入したドイツの利回りと比較すると、20年債、30年債は日本が若干高いものの、10年債についてはドイツが0.30%前後と、日本が大幅に下回っています。9日の30年国債入札が不調な結果になると、警戒感が広がり、金利低下一服となる可能性があります。
◆為替 : 米金融政策睨み
日銀のマイナス金利導入を受けて、ドル円は一旦大きく上伸したものの、米国の利上げ観測後退から、ドル円は再び116円台まで下落しています。金融市場の混乱や米経済指標の低迷を背景に、米金融市場が織り込む年内の利上げ確率は、利上げなしが6割程度まで上昇しています。米国の長期金利がじりじりと低下していることも、ドル高の抑制要因。米雇用統計やイエレン議長の議会証言で、市場の年内利上げなしという、やや前のめり気味の予想が修正されると、ドル高・円安に。
■来週の注目点
毎月勤労統計(12月) 2月8日(月)午前10時30分発表
毎月勤労統計によると、昨年11月の現金給与総額(一人あたり名目賃金)は前年比横ばいにとどまりました。また、名目賃金をインフレ率によって調整した実質賃金については11月に同0.4%減と、5か月ぶりのマイナスとなりました。
賃金の伸び悩みを背景に、家計調査による実質消費支出が12月に前年比4.4%減となるなど、個人消費の低迷が顕著となっています。
景気回復には賃金の増加が必須ですが、昨年冬のボーナスは大手製造業などを除き低調なものにとどまった模様です。そのため、今回発表される12月の賃金についても、明確な改善は示されないものと予想されます。
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