来週の金融市場見通し(2015年11月30日~12月4日)

■来週の見通し

来週は、欧米の金融緩和に注目が集まりそうです。3日には欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されています。ECBのドラギ総裁は、低インフレを背景に12月の理事会での追加緩和実施の可能性を示唆しており、政策金利の引き下げや量的緩和の期限延長などの措置が見込まれています。他方、米国では3日にイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言、4日に雇用統計の発表が予定されています。12月の連邦公開市場委員会(FOMC、15-16日)での利上げ開始の可能性が高まる中、利上げに前向きな発言内容となると、市場の利上げに備える動きが一段と加速する可能性があります。

◆株価 : 高値もみ合い

先高観測は根強いものの、日経平均株価は2万円手前で押し戻される動きが続いています。ドル高・円安の動きは一服していますが、イエレン議長の議会証言で米利上げ観測が強まり、ドル高・円安が進行すると一段高となる可能性があります。また、ECBが追加緩和に踏み切り、欧州株の堅調な動きが継続すれば、買い安心感が広がりそうです。高値圏にあるため、利益確定売りに押される場面もありそうですが、政策期待も根強く、下値も限定的となりそうです。

株

◆長期金利  0.3%付近で一進一退

長期金利は0.3%付近の一進一退の動きが継続しそうです。日銀の巨額の国債買入れが継続する中、外国人投資家の買いが主導し、年限が2、3年の国債利回りまで0%を下回ってきており、長期金利にも低下圧力がかかります。また、来年度の国債発行が減額されるとの観測も買い安心感です。ECBが追加緩和に踏み切り、欧州債利回りが低下すると、国内の長期金利も一段と低下する可能性があります。もっとも、0.3%を大きく下回る水準には、低下し過ぎへの警戒感も強まりそうです。

債券

◆為替 : 欧米の金融政策にらみ

来週は、ECB理事会、イエレンFRB議長の発言にらみとなりそうです。ECBが追加緩和に踏み切り、ユーロ売り、ドル買いが強まると、対円でもドルが強含む可能性があります。また、イエレンFRB議長が12月の利上げ開始に前向きな発言をした場合にも、ドル買い・円売りが優勢になりそうです。もっとも、米利上げは緩やかなペースとなるとの見方が浸透してきており、ドル高・円安地合いも、動きは鈍そうです。週末の米雇用統計も確認したいところです。

為替

 

来週の注目点

米雇用統計(11月) 12月4日(金)午後10時30分発表

米国の非農業部門雇用者数は10月に前月比27.1万人増と、20万人以下の増加を見込んでいた市場予想を大きく上回りました。11月については、その反動もあり、20万人を若干下回る増加にとどまると見込まれます。また、失業率については10月に5.0%と2008年4月以来の低水準となった後、11月も5.0%が見込まれます。

10月の雇用統計を受け、金融市場では、12月15、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて約9年ぶりの利上げが開始されるとの観測が優勢です。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部からも、12月の利上げを示唆する発言が相次いでいます。そのため、11月の雇用統計が10月よりもやや低調な結果にとどまった場合にも、12月の利上げが有力であることに変わりはないとみられます。

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