来週の金融市場見通し(2025年10月13日~2025年10月17日)
■来週の見通し
米国では新しい会計年度のつなぎ予算案が成立せず、米政府機関の一部閉鎖が続いており、長引けば経済成長を下押ししかねないとの懸念がくすぶります。他方、国内では自民党総裁選で高市氏が新総裁に選ばれ、大胆な金融緩和や機動的な財政政策を掲げた安倍元首相の経済政策「アベノミクス」を継承するとの見方が広がっています。来週は、日銀の田村審議委員の金融経済懇談会での発言や米大手銀行の決算発表などに加え、自民党の連立をめぐる動きなどを確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :国内政治動向受けて、荒い動きか
今週の日本株は、大きく上昇しました。4日の自民党総裁選で事前の予想に反して高市氏が勝利したことを受けて、同氏が掲げる積極的な財政政策が日本経済を押し上げるとの期待から買いが優勢となりました。また、円安が進行したことも、株価を押し上げました。
来週は、国内政治動向を受けて、荒い動きになりそうです。今週は高市氏が首相に就任するとの期待から株高が進みましたが、与党公明党が連立離脱を決めたと報じられたことを受けて、実際に高市氏が首相に就任するか不透明感が強まっています。野党は、統一候補の擁立に向けた調整を進めており、高市氏以外の人物が首相に就任する可能性は否定できません。仮に、高市氏の首相就任の可能性が低下した場合、同氏の政策への期待が剥落し、株式市場は調整する可能性があります。
◆長期金利 :低下しにくい
今週の長期金利は、30年国債入札が低調になるとの市場予想に反して無難な結果だったことから、低下する場面があったものの、自民党の新総裁に高市氏が選ばれたことを受け、財政政策が拡張的になるとの思わくや、円安進行によって輸入物価が上振れし、日銀が利上げに動きやすくなるとの見方が広がり、一時1.70%と2008年7月以来およそ17年ぶりの水準まで上昇しました。
来週も、長期金利が低下しにくい状況が続きそうです。高市氏が金融緩和を志向するとの見方は、国内金利の上昇を抑制すると見込まれますが、円安進行により、日銀が利上げに動くとの観測もくすぶります。また、高市氏が積極財政を進めるとの思わくも長期金利の低下を抑制しそうです。日銀の田村審議委員の発言や20年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :やや軟調か
今週のJリート市場は、小泉氏優勢とみられていた自民党総裁選で高市氏が選出され、長期金利が上昇したことなどが重しとなり下落しました。今週末の分配金利回りは4.692%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、国内の政治や長期金利の動向をにらみつつ、軟調な展開を見込んでいます。自公連立解消の報道を受け、国内政治の不安定化によりリスクオフの動きが強まることが想定されます。首相指名選挙で高市総裁が選出されるか不透明な状況で、いわゆる高市トレードの巻き戻しが起こることが想定されます。とはいえ、不動産市況は良好な環境であり、4%台後半の分配金利回りも期待できることから、値下がりした局面では下値を拾う買いに期待したいところです。
◆為替:国内の政局の行方次第
今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。先週末に実施された自民党総裁選において、事前予想に反し、高市氏が勝利したことにより、円売り圧力が強まりました。同氏は、日銀の利上げをけん制する発言をしたことがあるため、日銀が利上げを進めづらくなるとの見方や、積極的な財政出動により財政悪化を懸念する見方が背景にあります。10日には、1ドル=153円台と、約8か月ぶりの円安水準となりました。
来週のドル円相場は、方向感を欠く動きが予想されます。国内の政局の行方次第で、円安・円高どちらにも進行する可能性があります。足元では、公明党の連立離脱を受けて、高市氏が首相に就任できるかについて不透明が強まっていますが、政治の混乱が長引いた場合、一段と円安が進行するリスクがあります。
◆米国株 :米政治動向に注目
今週の米国株は、上値の重い動きとなりました。政府機関の一部閉鎖が継続し、経済の下押し圧力になるとの見方から売りが優勢となりました。また、高値警戒感が強まっていることも株価の重しとなりました。一方、半導体株は、オープンAIとの提携を発表したことが好感されたAMDの株価上昇が牽引し、堅調な動きとなりました。
来週は、米政治動向が注目されます。政府機関の一部閉鎖が続いていることにより、雇用統計などの重要な経済指標の発表が見送られ、市場の様子見姿勢が続いています。来週も政府閉鎖が継続すると、材料難から相場の動きは限定的になることが予想されます。他方、共和党と民主党の予算交渉が進展し、政府機関の閉鎖が収束する見通しとなれば、投資家心理が改善し、株価は上昇する可能性があります。
■来週の注目点
機械受注(8月) 10月16日(木)発表
7月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比-4.6%と2か月ぶりの減少となりました。製造業からの受注額は増加した一方、不動産業など一部業種からの受注の下振れにより、非製造業からの受注額が減少しました。
8月の機械受注は持ち直すことが予想されます。日米貿易協議の合意などを受け、米国の関税政策に対する不透明感が後退したことから、製造業を中心に設備投資が活発化する可能性があります。実際、日銀短観での設備投資計画においても、企業の設備投資への積極的なスタンスが示されています。
米NY連銀製造業景況指数(10月) 10月15日(水)発表
9月の米NY連銀製造業景況指数は、-8.7と3か月ぶりにマイナスに転じました。新規受注と出荷に関する指数は、2024年4月以来の低水準となるなど、製造業での需要の減少を示唆する内容でした。
10月の米NY連銀製造業景況指数は0.0程度が予想されています。関税引き上げによる仕入れ価格の上昇などは景況感の逆風となるものの、設備投資を中心に最終需要は底堅いため、景況感は最悪期を脱した可能性があります。
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